不動産売却は、相手があってこそ成立するものです。買主が安心できない状態にある不動産は、売ることができなかったり、トラブルの要因になったりするおそれがあります。また、トラブルをトラブルとしないためには、売主も不動産売買の知識をつけておく必要があるでしょう。
本記事では「売却前」「売却中」「売却後」に分け、よくあるトラブルと解決方法をご紹介します。
不動産売却前のよくあるトラブルと解決方法
次のような状態にある不動産は、売りたくても売れない可能性があります。売却前につまづくことのないよう、不動産を「綺麗な状態」にしておくことが大切です。
1.境界が確定していない
戸建や土地は「境界」が確定していないことで売れない可能性があります。境界とは、土地と土地、あるいは土地と道路や公共用地との境目を指します。
法的には、境界が確定していなくても登記簿上の面積で売買することは可能です。
しかし、「この敷地はここからここまで」と明確に示すことができなければ、取引価格が曖昧になり、隣地とのトラブルの元になることから需要は下がります。結果として、売れなかったり、取引価格が下がったりすることにもなりかねません。
解決方法
境界が曖昧な土地は、確定測量を実施しましょう。
確定測量とは、土地を測量し、隣地の所有者同士が土地の境界線を確認しあうことを指します。確定測量は、土地家屋調査士に依頼します。
境界を確定するには、事前の調査や現地の測量、隣地所有者との話し合い、図面などの書類の作成などさまざまな手続きが必要になることから、3〜4ヶ月かかるのが一般的です。
「土地や戸建を売りたい」と考え始めてから測量に着手すると、売却までに半年から1年ほどはかかってしまうことでしょう。費用も30〜80万円ほどかかることから、売却前から準備しておくことが大切です。
2.名義が自分ではない
不動産は「登記名義人=所有者」でなければ売却することはできません。
自分の家のように住んでいたとしても、実は名義人が祖父や父親のままだったということは珍しくありません。売却しようとしたら曽祖父が登記名義人になっており、自分が登記名義人として売却するまでに20年間以上を要した事例もあります。
先々代、先々々代が名義人になっている場合は、すでに二次相続、三次相続が発生していることも多く、故人と全ての相続人の戸籍謄本と用意したり、意思を確認したりするのに長い年月がかかることが想定されます。
解決方法
解決方法は、相続が発生したら速やかに相続登記することに尽きます。相続登記をしない期間が長ければ長いほど、相続人がどんどん増えていってしまうからです。
2024年4月1日からは、相続登記が義務化されます。
現在、売却を検討している家の登記名義人が先代、先々代…のままである場合は、司法書士に登記手続きを依頼することで比較的スムーズに売却できる状態とすることができます。
不動産売却中のよくあるトラブルと解決方法
東京カンテイの調査によれば、首都圏中古マンションの平均売却期間はここ数年「3ヶ月前後」で推移しています。地方や流通性がマンションより低い戸建であればもう少し時間がかかるかもしれませんが、おおむね「6ヶ月」経っても売れない場合は、何らかの対策を講じたほうが良いでしょう。
解決方法
売れない要因は、次のようにいくつか考えられます。
- 相場より高い
- 需要が低い
- 劣化や汚れが目立つ
家が売れない場合の適切な解決方法は、売れない要因によって異なります。従って、まずはなぜ売れないのか原因を考えることが大切です。
- 相場との乖離はないか
- 反響の数や問い合わせ内容
- 内覧した人の声
これらを分析し、売れない原因を推測します。
まず、価格に問題がある場合は、値下げを検討してみましょう。
不動産市場の動きは、GWやお盆休暇、年末年始などの長期休暇には鈍る傾向にあります。このタイミングで値下げしても、その効果は半減してしまうでしょう。
どれくらい値下げすればいいか悩む場合は「桁」を意識して値下げすることをおすすめします。たとえば、3,100万円で売り出している不動産を3,000万円に値下げするより、2,980万円としたほうが「3,000万円以内」探している方の選択肢にも入ってくるため値下げの効果は高いものと考えられます。
一方、価格に問題がないと考えられるときは、次のように「売り方」を工夫する必要があるでしょう。
- インスペクション(住宅検査)をして安心を付帯する
- ハウスクリーニングして印象UPを狙う
- 時間的猶予がないときは不動産買取で売る
不動産売却後のよくあるトラブルと解決方法
実は、不動産を売った後も、しばらくの間は安心できません。それは、契約不適合責任を追求されたり、売買契約の解除を申し出られたりする可能性があるからです。
1.契約不適合責任
不動産の売主は「契約不適合責任」を負う必要があります。
契約不適合責任により売主は、契約内容に適合しない不具合の対応を求められた場合、補修や減額などの対応をしなければなりません。さらに、買主がなんらかの損害を受けた場合は損害賠償請求されるおそれもあります。
解決方法
契約不適合責任は、民法で定められた売主の責任です。「知らなかった」で済まされるものではないため、不動産を売るすべての人は、まず自身が果たすべき責任を知っておきましょう。
契約不適合責任の対象は、“契約内容と適合していない”不具合などです。
従って、売主と買主は売却時点の物件の状況を把握し、契約内容に盛り込むことも大切になってきます。
現状を把握するためには、第三者の専門家によるインスペクション(住宅検査)の実施も効果的です。また、契約不適合責任のリスクを減らすため、建物の構造の重要な部分における不具合の補修費用などを補償してもらえる「瑕疵保険」の加入も検討しましょう。
2.契約解除
不動産の売買契約は、原則的に解約はできません。しかし、買主は、売主が契約の履行に着手するまでなら手付金の放棄により解除が可能です。また、「ローン特約」があれば、買主は無条件に契約を白紙に戻すこともできます。
「売買契約さえ締結すればもう安心!」と思っていると、不測の事態に対応できなくなってしまいます。
解決方法
売買契約後も、一定期間は買主から契約を解除することが可能です。売主は、その事実や契約解除ができる期間を知っておきましょう。
契約解除ができる期間は、法的には「契約の相手が契約の履行に着手するまで」ですが、この期日は曖昧であるため「契約解除期日」が決められるのが一般的です。契約解除期日までなら、買主は手付金の放棄で、売主は手付金の2倍を買主に支払うことで解除できます。
そして、買主がローンを組むときに必ずチェックしておきたいのが、ローン特約です。ローン特約とは、ローンの本審査に通らなかった買主が無条件で契約を解除できるというもの。期日は、売買契約から1ヶ月前後に設定されることが多い傾向にあります。
まとめ
不動産トラブルの多くは、リスクを知り、備えることで回避できます。問題や発生してしまったトラブルを解決するには、ときに専門家の助けも必要です。
不動産あんしん相談室では、弁護士や司法書士、土地家屋調査士などと連携して仲介にあたらせていただきます。信頼できる不動産業者を紹介することも可能ですので、どうぞお気軽にご相談ください。
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