不動産取引は、宅建業者が仲介するのが一般的です。しかし、なんらかのトラブルや問題が発生した場合、法律の専門家である弁護士の介入が必要なケースがあります。
弁護士のサポートが必要なケース1.離婚に伴う不動産トラブル
まず一つ目は、離婚が伴う不動産トラブル。
具体的には、以下のようなケースです。
- 財産分与に伴い、夫婦間で自宅の売却について揉めている
- 離婚に伴い不動産を売りたいのに、住宅ローンが完済できない
- 離婚後、元夫の住宅ローンの支払いが滞り、妻子が住む自宅が差し押さえられた
上記のケースすべてで、弁護士の介入が必要になるわけではありません。
しかし、これから離婚する、あるいはすでに離婚した夫婦間で不動産に関する揉め事が発生した場合には、弁護士のサポートが必要になるケースは多いといえます。
財産分与
自宅などの不動産は、簡単に分割できず、売却して換価するにも離婚する夫婦間で離婚後の希望に相違が生じることがあります。
離婚する夫婦に多いのは、家や住宅ローンの名義が夫で、妻子が自宅に住み続けたいと主張するケース。ここでたとえば、夫に自宅を売りたい意向があれば話は平行線となってしまいます。
それに伴い、弁護士が介入する必要性も生じてくるのです。
任意売却
離婚する夫婦間で「自宅を売りたい」と意向が合致していたとしても、住宅ローンが完済できずに売却できないケースは少なくありません。そんなときに選択されるのが、「任意売却」です。
不動産を売却するには、基本的に住宅ローンを完済し、物件に設定されている「抵当権」を抹消しなければなりません。
抵当権とは、簡単にいえば住宅ローンを貸し出している金融機関がもつ担保権。任意売却は、金融機関から特別な許可を得て、住宅ローンを完済せずに抵当権を抹消してもらって行う不動産売却です。
任意売却後には不動産を売ったことによる対価は優先的に住宅ローンの返済に充てられますが、その中でも夫婦の転居費用や仲介会社に支払う仲介手数料等を確保できるよう、弁護士が債権者に交渉することもあります。
住まいの差し押さえ
住宅ローンや税金の滞納により住まいが差し押さえられてしまった場合、そのままの状況を放置していれば強制的に競売にかけられてしまいます。
離婚後、元夫の滞納により、妻子が住まいを奪われてしまうケースは少なくありません。
競売を主導するのは、裁判所。任意売却ではときに裁判所とのやり取りも必要なため、弁護士が仲介や交渉にあたることもあります。
弁護士のサポートが必要なケース2.相続資産に不動産が含まれる
相続資産に不動産が含まれると、相続後に揉める要因になりやすいもの。その理由はやはり、不動産は現金のように分割しやすいものではなく、価値も判断しにくいからです。
遺言書の作成
被相続人の意思の通りに相続されるよう、生前に「誰が」「どの資産を」「どの程度」相続するかを指定する書面が遺言書です。
遺言書に不備があれば、記されている内容が無効になってしまうこともあります。そのため、遺言書の作成と遺言執行を弁護士に依頼するケースも少なくありません。
遺産分割協議
遺言書がない、あるいは内容に不備がある、相続人が遺留分を主張する……といったケースでは、遺産の分割で揉めることがあります。
法律で保障された一定割合の相続分のこと。遺言書があっても、遺留分が侵害されている場合にはその内容を覆すことが可能。
相続人同士で相続問題が解決できないとなれば、離婚と同様、話し合いの場は調停に移ることも。さらに調停で解決できないとなれば、裁判へと進みます。
この過程において、調停の申し立てや依頼者に有利に話し合いを進めるため、弁護士のサポートが必要になるケースがあるのです。
弁護士のサポートが必要なケース3.不動産の共有トラブル
離婚や相続で不動産トラブルが発生する理由の多くは、共有者同士の意見の不一致によるものでもあります。
たとえば、不動産を売りたい共有者がいる一方で、当該不動産に住み続けたいと考える共有者がいれば、話は平行線のまま。不動産は基本的に、すべての共有者の意見が一致していなければ売却も活用もできません。
共有持分トラブルを解決する方法は、次の3つに大別されます。
- 共有者同士で話し合い
- 共有持分の解消
- 共有持分のみの売却
いずれの解決方法も、弁護士の介入がなければならないというわけではありません。しかし、解決を目指すための話し合いや権利関係を整理するうえで、弁護士のサポートを要することがあります。
弁護士のサポートが必要なケース4.隣接地トラブル
土地が狭く、各々の家屋の距離が近い日本では、隣人とのトラブルが生じやすいといえます。日常生活に密接した隣接地トラブルは、根深くなりがちである一方、できれば穏便に解決したいと思う人が多いものです。
- 境界トラブル
- 私道トラブル
- 越境トラブル
- 迷惑行為
これらの問題のすべては、基本的に双方の話し合いでの解決が望まれます。
しかし、双方の主張や言い分の落としどころが見つからなければ、訴訟に発展することも。隣接地トラブルは行政機関が介入しづらいため、ときには弁護士のサポートを受けながら解決していかなければなりません。
弁護士のサポートが必要なケース5.賃貸借トラブル
不動産の賃貸においても、弁護士の介入が必要となるトラブルは多く起きます。
- 賃料の未払い
- 明け渡し
- 原状回復
- 建て替え
家主と借主の間でトラブルに発展しやすいのは、上記のようなことです。
賃貸借契約は、基本的に「家主の権利」より「現居住者が住む権利」のほうが強いもの。たとえ家賃が一定期間未払いであっても、家主が明け渡し請求を請求したとしても、強制的に居住者を退去させることは難しく、訴訟等に発展してしまうことも多いのです。
まとめ
今回は、弁護士のサポートが必要になる不動産トラブルの5つの事例を紹介しました。
もちろん、すべてのケースで弁護士の介入が必須というわけではありません。一番は、当事者同士の話し合いで解決すること。また「トラブルを未然に防ぐ」「トラブルの根本を見直す」ということも大切です。
不動産あんしん相談室は、状況に応じて、弁護士やその他の専門家と連携しながら不動産トラブルを解決する専門機関です。初回相談は無料。大きな問題に発展してしまう前に、ぜひ一度ご相談ください。
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