親が高齢になると一番に心配なのは病気や怪我かと思いますが、「老後資金」も気になるところ。
ただ気にはなるものの、親御さんの収支状況を把握していないという方も多いのではないのでしょうか?
今回の記事では、親の老後資金が心配、こっちに援助をもとめられたら困るな…と心配な子世代の方にむけて、「親の面倒は親自身で見てもらう」ための方法を説明していきたいと思います。
老後資金が足りない親への仕送りや援助の実情
「今の老人は裕福だ」なんてこともいわれますが、自分の親が裕福で、なんの心配もいらないと思っている人は決して多くはないでしょう。
高齢の親に仕送りしている子の割合:約7%
仕送りの平均金額:6万4千円
「月に6万円以上なんてとんでもない額だ!」と思うかもしれませんが、総務省によれば、無職の高齢者夫婦の1ヶ月の不足分は平均して約5.4万円。
つまり「月々6万円の仕送り」は決して他人事ではなく、貯金のない親の老後資金として、あなたが実際に提供しなくてはならなくなるかもしれないのです。
親の老後を見たくないのなら親の貯蓄や収支状況を把握するべき
自分を産み、育ててくれた親ですから、ないがしろにはできません。
とはいえ自分にも生活があり、家庭がある場合には配偶者やお子さんのことを優先させなくてはいけませんよね。
「親の老後なんて見たくない!」というのが、子の本音なのではないでしょうか?
ただ「見たくない」からといって、今の親の現状を把握していなければ、事態はさらに深刻化するおそれもあります。
親自身でさえ、「年金も家もあるしどうにかなる」と将来を楽観視していることもあるのです。
親の老後を見たくないのであれば、なおさら今の親の貯蓄と収支状況を把握することが大切です。
収支状況を確認するにあたっては、具体的に以下の点をチェックしてみてください。
- 貯蓄額
- 年金受給額
- 月付きの出費
- もしものときの備え
①貯蓄額
預金通帳にある額だけではなく、財形貯蓄額やその受給年齢なども確認します。
また株や投資信託を所有している場合は、現在の価値を把握しておきましょう。
②年金受給額
総務省によると無職の高齢者夫婦の場合、実収入の平均は約20.9万円となっています。
今現在まだ受給年齢になっていない方は、年金手帳や年金定期便で確認することができます。
③月々の出費
高齢者夫婦の月々の出費の平均額は、約26.3万円。
住宅費や食費、光熱費、趣味や娯楽に使う費用など、全て洗い出して出費を把握します。
④もしものときの備え
介護が必要になったり病気になったりしたときに備えて、保険に入っているのか、あるいはその分の貯蓄があるのか確認しましょう。
持ち家があったとしても住宅費はゼロにはならない
賃貸住宅の場合は家賃が出費になりますが、持ち家だからといって出費がゼロだと思うのは危険です。
持ち家は継続的にメンテナンスしなければなりませんし、固定資産税も継続してかかります。
また、将来的には設備の交換やバリアフリー住宅へのリフォームが必要になることも考えられます。
持ち家がマンションの場合は、管理費・修繕積立金は継続的にかかる住宅費として把握し、さらに別途で室内のメンテナンス・改修費用を自身で積み立てておく必要があります。
親の貯蓄がないときには唯一の資産である家を手放させることを考える
平均的な収入や支出を見ても、高齢者夫婦の月々の収支は赤字になるのが一般的だといえます。
そのためにコツコツ貯金したり、積み立てたりすることが大事なのですが、すでに両親が退職していたり、「老後」を目前としていたりすれば、時すでに遅し。
親が「老後」の時点で十分な蓄えがないのなら、もはや子どもが助けるしかないのでしょうか?
ここで考えてもらいたいのが、親が持っている唯一の資産のこと。
親の懐事情を把握したけれど、毎月赤字で、もしものときの蓄えもない。
もう自分が援助するしかない…というときには、持ち家を売却してもらうことを考えてみましょう。
親の面倒は親自身に見てもらうために、親の資産を売ってもらうということです。
ただ持ち家を手放すとなると売却金額を老後資金に充てられるとはいえ、今度は家賃がかかってきてしまいます。
ただし先述した通り、持ち家だとしても住宅費がゼロなわけではありません。
持ち家にかかる住宅費
マンション:年間50〜60万円ほど(管理費、修繕積立金、固定資産税など)
一戸建て:年間40〜50万円ほど(固定資産税、メンテナンス費用など)
例えばマンションなら、管理費や修繕積立金に年間40万円ほどかかっているのではないでしょうか?
それに固定資産税と積み立てておくべきメンテナンス費用を加えると、年間50万円や60万円はくだらないはず。
一戸建ての場合は管理費や修繕積立金は不要ですが、固定資産税やメンテナンス費用が高額になりがちです。
持ち家から賃貸に住み替えするメリット
賃貸住宅に住むとなると初期費用や更新ごとにかかる費用はありますが、基本的に継続してかかるのは家賃のみ。
また老後を迎えてもなお、住宅ローン残債があるという方も少なくないでしょう。
ご両親が40歳や50歳でマイホームを持ったのであれば、70歳や80歳まで住宅ローンの返済は続きます。
住宅ローンの月々の返済額は、元本だけではなく高額な金利も含まれています。
持ち家を手放すデメリット
持ち家を売ったお金は、老後資金に充てることができます。
ただし今後は「家賃」という出費が増えてしまいます。
それに加え、高齢者が持ち家を手放すときには以下のような懸念点もあるのではないでしょうか?
- 高齢の親を新しい住まいや環境で生活させるのが不安
- 自分にとっても思い入れのある実家を処分したくない
- 将来的に家を相続してもらおうと思っていた
確かに唯一の資産である持ち家を売って、新たに賃貸住宅を探して、引越しさせて…というのはあまりにも親御さんの負担が大きいようにも感じるでしょう。
そして実家がなくなるということは、あなた自身にとっても「想定外」かもしれません。
しかし持ち家を売って生じるデメリットを解消できる売却方法があるのです。
それが「ハウスリースバック」という方法です。
ハウスリースバックは老後資金に乏しい高齢者に最適
「ハウスリースバック」とは、簡単にいえば持ち家を売って、買主になった人から家を賃貸して、継続的にその家に住み続けることができるという売却方法です。
持ち家から賃貸にはなるものの、ハウスリースバックには以下のようなメリットがあります。
- 引越しいらず
- 近隣の方に家を売却したとはわからない
- 将来的に家を買い戻すことも可能
- 売却金額としてまとまった金額を得ることができる
- 子どもとの同居も可能
このようなメリットから、以下のような状況の方に最適な売却方法だといえます。
- 親の老後資金のためにまとまった金額が必要
- 親に引越しはさせたくはない
- 自分も将来的には戻ってきたいと思っている
ハウスリースバックについては、こちらの記事で詳しく説明しておりますのでぜひご覧ください。
まとめ
「親を助けるのが子の役目」とはよくいったもので、「自分の面倒は自分で見る」のが本来あるべき姿だといえます。
ただそのための「準備」や「助言」は、子の役割ともいえるかもしれません。
親に代わって収支状況を把握する、老後資金が明らかに足りない場合は必要な対策を考える。
これは明らかに親孝行の1つです。
親御さんのため、そしてご自身のためにも、「親の面倒は親自身に見てもらう」ための方法を考えてみましょう。