みなさんこんにちは、不動産コンサルタントの神田(@eco2009_earth)です。
少子高齢化に伴い、当相談室では年々「相続問題」や「相続した不動産の活用方法」に関するお問い合わせが増えています。
そこで、今回はお客様からよくいただく質問と回答をまとめました。
いつ起こるかわからないことだからこそ、いざとなる前に家族間での話し合いや準備できることは事前にしておくことをオススメします。
相続にはどれくらいのお金がかかる?
相続は誰もが経験するものでありながら、どのぐらいの費用がかかるのかわからないという人が多いのが現状です。
ここでは、相続税から葬儀にかかる費用など、相続の際に必要になる費用をまとめました。
ケースによって異なる部分もございますので、ご参考までに。
生命保険で相続税対策は有利になる?
相続税対策に生命保険を利用される方が多いのですが、なぜでしょうか?
その理由は、「500万円×法定相続人の人数」の金額の控除があるからです。
例えば、相続人が2人いたら1000万円、4人なんら2000万円が控除され、通常の基礎控除に上乗せされます。
また生命保険は現金化が早く、分配しやすいメリットもあります。
相続人が認知症の場合はどうなるの?
相続される方の中には認知症や、知的・精神的障害を持たれている方もいらっしゃいます。
もちろん、その方にも相続する権利はありますが、意思能力の有無によっては「成年後見制度」を利用し、不利益にならないようにしなければなりません。
意思能力が失われている相続人が不利益になってしまう内容の遺産分割協議をすることは認められていないからです。
失踪宣告ってなに?
失踪宣告とは、法律上行方不明者を亡くなったことにする制度です。
「普通失踪」と「特別失踪」の2種類があり、両者では失踪宣告に必要な失踪期間と失踪宣告により死亡したものとみなされる時期が異なります。
【普通失踪】
特別失踪に該当するような原因のない通常の失踪
【特別失踪】
従軍・船舶の沈没など特別の危難にあった場合の失踪
贈与するときに気をつけること
最近は孫に対する「教育資金」や「住宅資金」の贈与が増えています。
特に子供が住宅を購入する際、親が一部を贈与という形で負担するケースが多いようです。
一定の金額までは非課税になるので、それを利用しているのですが、実は落とし穴もあります。
それは「引き渡し期限」という必要条件です。
実際に、新築マンションを購入する際、親からの贈与を受け取って購入したが、マンションの建築工期が大幅に遅れ、引き渡し日が必要条件の期日より遅くなったというケースがありました。
結局は非課税の恩恵を受けられず、贈与税を支払わなければならなくなってしまいます。
このようなことにならない為にも、贈与するタイミングは慎重に考えましょう。
相続って放棄することはできる?
相続する遺産には正の遺産(財産)と負の遺産(借金)があります。
負の遺産が多い場合は、すべての財産を相続しない「相続放棄」をすることが出来ます。
この相続放棄をする場合には、亡くなった事を知ってから3ヶ月以内にしなければなりません。
これを超えると、相続放棄が出来なりますので注意しましょう。
相続にはどんな方法があるの?
相続が発生した場合、相続人が相続を承認するか放棄するか、選択の自由が認められています。
その選択肢として3つの相続方法があります。
単純承継
被相続人のすべての財産・債務を受け継ぐことを単純承認といいます。
相続の開始を知った時点から3か月以内に限定承認、または相続放棄のどちらか選択しなかった相続人は、家庭裁判所に期間の引き伸ばし申請をしない限り、単純承認をしたものとみなされます。
相続放棄
相続には、全く財産を相続しないという選択肢もあります。
被相続人の財産よりも明らかに債務が多い場合など、被相続人のすべての財産と債務を受け継ぐことを拒否することができます。
この場合、はじめから相続人とならなかったものとみなされます。
気を付けなければならないのが、前述の通り、相続の開始を知った時点から3か月以内に家庭裁判所に申立てをしなければ、単純承認をしたものとみなされ全ての財産を相続することになるという点です。
また相続放棄を家庭裁判所に申述するには、下記のものが必要となります。
- 相続放棄申述書
- 申述人(相続人)の戸籍謄本
- 被相続人の戸籍謄本等(除籍簿)
- 被相続人の住民票の除票
- 収入印紙(一人800円)
- 返信用の郵送切手(一人400円分)
- 申述人(相続人)の認印
提出後、一週間ほどで家庭裁判所から「相続放棄の申述についての照会書」郵送されています。
記載されている質問事項に答えて返送し、問題がなければ「相続放棄申述証明書」が郵送され、相続放棄が認められます。
限定承継
限定承認とは、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を受け継ぐという条件をつけて相続する方法です。
一見合理的な制度に感じますが、実際のところ手続きが複雑なことや、相続人全員そろって行わなければならないこと、税務上の問題もあり、あまり利用されていないのが現実です。
税務上の問題とは具体的に、限定承認では相続時に時価で被相続人から相続人に対して譲渡があったものとみなすため、相続人に税金が発生します。
負債を弁済 するために全ての財産を売却することになのですが、このときの売却によって得た金額は収入とみなされて所得税の対象となってしまいます。
この所得税は債務 に含まれますので、最終的に負債が上回るときは切り捨てることができますが、もし相続する遺産がプラスになるときには損をしてしまいます。
こういった理由で、限定承認は思いのほか利用しづらい制度となってしまっています。
この制度を選択する場合は、相続不動産の価値や債務などを精査し、損をするのか得にな るのか、しっかりと吟味して選択する必要があります。
改正で減税されたものをうまく使うのがポイント
今回の改正で増税となる一方で「小規模宅地等の特例の緩和」や「贈与税の非課税枠の拡充」など、減税となる改正も行われています。
事前に適切な対策を取ることで、この改正による影響を少なく、あるいは相続税を減らせる場合があります。
当相談室では、相続対策のご相談を無料で行っておりますので、お気軽にお問合せください。