不動産あんしん相談室に寄せられた「相続」に関する質問や実際にサポートさせていただいた事例をまとめております。
相続でよくある質問と回答
相続の悩みは、相続税対策、分割協議、法的な問題など多岐にわたります。近年では、相続に関する取り決めの改正も続いているため、より複雑化しているといえるでしょう。
Q.相続税改正で増税?相続人が妻と子ども2人の場合の控除額は?
平成27年に相続税が改正され、基礎控除額は「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」から「3,000万円+法定相続人の数」となりました。そのため、相続人が妻と子2人の場合の基礎控除額は4,800万円となります。正味の遺産が4,800万円を超えると、相続税が課税されます。
また、改正により税率も引き上げられましたのでご注意ください。
(出典:国税庁)
平成30年には、相続に関する民法が改正されました。こちらも併せてご参照ください。
Q.改正によって減税となる例もあるようですが、それはどんな場合ですか?
未成年者または障がい者の相続人の控除額が引き上げられました。未成年者は成人になるまでの年数、障がい者は85歳になるまでの年数が1年につき、6万円から10万円(障がい者は20万円)に引き上げられています。
また、小規模宅等の特例も拡充・柔軟化しています。
(出典:国税庁)
特定居住用宅地等は、80%減額の適用面積の上限を240㎡から330㎡に拡大。さらに、特定居住用と特定事業用の完全併用が可能となり、これまで最大400㎡までの限度面積が最大730㎡にまで大幅に拡大されました。
Q.相続税を下げるために今から準備できることは?
相続税の節税対策として主なものに「生前贈与」「不動産購入」「養子縁組」が挙げられます。
「生前贈与」は、前もって財産の移転をしておくことで、相続財産の減少につながります。「不動産の購入」は、預貯金を不動産に変えておくことで、財産評価を引き下げることができます。
また「養子縁組」をすれば法定相続人が増え、基礎控除額、生命保険金、退職手当等の非課税枠の増加につながります。ただし、実際に養子縁組する際には節税以外の目的・理由が必要です。また、他の相続人の取り分が減少することになりますので、慎重に判断されることをおすすめします。
Q.相続人同士でもめていて、相続税の申告期限までに遺産分割が間に合いそうにありません……
相続税の申告期限は、相続発生から10ヶ月。申告期限を過ぎてから申告書を提出すると無申告加算税や延滞税がかかりますので、期限内に申告・納税できるよう手続きを進めることが大切です。
遺産分割でもめていて、申告期限に間に合わない可能性がある場合は、解明できている財産だけで期限内に申告し、延納申請を行い、分割協議が整ったのち修正申告等を行うようにします。
申告期限後3年以内に分割された場合、更生の請求によりこれらの特例の適用が可能となりますので、できるだけ早く遺産分割協議をまとめる必要があります。
相続に関する事例
相続の数だけ、状況や背景、被相続人および相続人の意向は異なります。法律や仕組みだけ理解していても、なかなか自分がどう動くべきかわからないものです。
不動産あんしん相談室では、専任のコンサルタントがご状況やご意向を丁寧にヒアリングし、必要に応じて弁護士などの専門家と連携してご相談者様をサポートいたします。
ここからは、実際に当相談室にお寄せいただいたご相談事例とそのポイントを解説します。
特定の子に多くの財産を相続させたい
私には子どもが3人いますが、3年前に妻を亡くし、以後は長女が同居して私の介護や身の回りの世話をしてくれましたので、長女にはできるだけ多くの財産を相続させたいと考えています。遺言作成の際、どのような点に留意すればいいでしょうか?
- 遺言において、各相続人の相続分を指定することができますので、長女の相続分を他の相続人よりも多く指定することも可能です。
- 指定する相続分によっては、他の相続人の遺留分(最低限相続できる割合)を侵害することになり、他の相続人から長女に対して遺留分減殺請求がなされる可能性があるので注意が必要です。(家庭裁判所の許可を得て、あらかじめ遺留分を放棄してもらうことは可能です。)
- 長女の寄与分について、遺言の中で明記しておくと良いでしょう。
- 相続人間の争いを未然に防止するため、信頼できる遺言執行者をしておかれるとより安心です。
生前の資金援助は考慮される?
先月、父が亡くなったため、今後、父の遺産について、母、私、妹の3人で分割協議を行う必要があります。父の遺産は、少なくとも不動産、預金、株式があるはずなのですが、父と同居していた母と妹は、私が結婚して自宅を購入する際に父から一定の資金を援助してもらったことを理由に、私に分けるものはないといい、遺産の内容すら明らかにしてくれません。私は、父の遺産について何も言う権利がないのでしょうか?
- 援助してもらった資金は、父親からの贈与として「特別受益」にあたりますので、遺産分割において考慮されることになります。(特別受益の持戻し)
- もらうべき資産がないかは、遺産の金額によります。まずは、遺産の内容をすべて開示してもらうことが必要です。
- 遺産分割について協議が整った場合には、遺産分割協議書を作成し、分割の内容を具体的に定める必要があります。
- 遺産の内容については、他の相続人の同意が得られなくても、一定の範囲で調査することが可能です。
- 相続人間で任意の話し合いが難しい場合には、家庭裁判所に遺産分割の調停を申立てることも検討します。
「意思を伝える」「争族にさせない」ために専門家のサポートを
相続で避けなければならないのは、亡くなった方の遺志が伝わらないこと、そして相続人同士で争ってしまうこと、必要以上の相続税が課税されてしまうことです。
相続税改正や相続の数自体が増加していることで、近年、専門家への相談数も増加傾向にあります。
弁護士提携の不動産あんしん相談室は、初回30分相談無料。相続税対策にも効果的な不動産を賢く活用するためにも、どうぞお気軽にご相談ください。
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