近年「相続人不在」のケースが多くなっています。2020年、相続人がおらずに国庫に入った遺産総額は603億円。4年間で、実に約1.4倍に急増しています。
相続人のいない不動産を担保にお金を貸していた抵当権者、あるいは債権者、さらに法定相続人ではないものの特別な縁があった方におかれては、相続人がおらず、不動産を売却して換価できずに困ってしまうことも少なくないでしょう。
そこで本記事では、相続人がいない不動産を売却する方法を解説します。
相続人が不在となる要因
相続人が不在となる要因は、次の3つです。
法定相続人がいない
「法定相続人」とは、民法で定められている「遺産を受け取れる人」です。
亡くなった人の「配偶者」は常に相続人となります。配偶者以外の人は、次の順序で相続人となります。
第1順位:子(亡くなっている場合は孫やひ孫)
第2順位:直系尊属(父母・祖父母)
第3順位:兄弟姉妹(亡くなっている場合は甥や姪)
これらの法定相続人がすべていない場合、相続人不在となります。
相続放棄
法定相続人がいる場合においても、すべての相続人が相続放棄をすれば、相続人不在となります。
欠格・廃除
法定相続人がいても、相続権が剥奪された「欠格」や亡くなった人の意思で相続権を奪う「廃除」によって相続人がいない状態であれば、相続人不在となります。
相続人がいない不動産は「相続財産管財人」を選出して売却する
相続財産管理人とは、相続人不在の資産の管理や清算をする人です。相続人が不在の場合に不動産を売却するには「相続財産管理人」を選任しなければなりません。
相続財産管理人の選任
相続財産管理人は、亡くなった人が残した借金の債権者やいわゆる内縁の方など利害関係者や検察官からの申し立てによって、家庭裁判所が選任します。
相続財産管理人となる人に必要な資格などはありませんが、相続財産を管理するのに適した人が選ばれます。そのため、弁護士や司法書士などの士業が選ばれることも少なくありません。
売却が可能になるのは、相続財産管理人選任を知らせるための「公告」をした後です。
相続人がいない財産は法人に
相続人のいない不動産は、民法の規定により法人となり「相続財産法人」が成立します。
不動産の名義も、このとき相続財産法人となります。
相続財産管理人による不動産売却の流れ
相続財産管理人の役割は、基本的に財産の保存と管理にあります。
そのため、相続財産管理人であったとしてもその一存で不動産を売却することはできず、一般的な不動産売却と流れは異なります。
1.家庭裁判所に売却の許可を得る
売却には、家庭裁判所の許可が必要です。ただし、必ずしも家庭裁判所が不動産の売却を許可してくれるとは限りません。
- 売却価格
- 売却の目的
- 売却先
これらが公正であり、適正だと判断されなければ、売却の許可はおりません。許可を得るためには、不動産鑑定士による評価や弁護士のサポートが必要になることもあります。
2.売買契約
家庭裁判所から売却を許可を得れば、売却が可能となります。しかし、裁判所が許可した範囲の価格でしか売却はできません。
売買が成立すれば、相続財産法人から買主に名義が変更されます。
3.債権者への分配や財産分与
売却して得られた対価は、債権者や抵当権者に分配されます。また、亡くなった方と特別な縁故のあった「特別縁故者」から申し立てがあり、これが裁判所に認められれば、財産分与されます。
分配、分与ののち余った財産は、国庫に帰属されます。
抵当権が付いている・借金が残っている場合の売却方法
不動産に抵当権が付いていたり、被相続人の借金が残っていたりする場合、相続財産管理人が不動産を売却する方法は、競売、あるいは任意売却に限られます。
任意売却は、競売で落札されるより高額で売却できる可能性の高い売却方法ですが、抵当権者の許可を得なければなりません。
この場合の判断および売却までの流れは、さらに複雑化します。
相続人のいない不動産売却で満足のいく結果を得るには弁護士と不動産業者の連携がポイント
ここまで相続人がいない不動産を売却する流れを見てきましたが、満足のいく結果を得るためのポイントとなるのは以下の点です。
- 利害関係者に有利な形で手続きを進めてくれる相続財産管理人が選任されるか
- 裁判所に認められ、なおかつ少しでも高い価格に設定できるか
- 抵当権がついていたり借金が残っていたりする場合、競売を避けて任意売却できるか
相続財産管理人を申し立てる際には、相続財産管理人が円滑に業務を行うため「予納金」を納めなければならないこともあります。その額は、数十万円~100万円ほどになることも。
もし、期待していた価格で相続不動産が売却できなければ、先立つ費用のほうが多くなり、それまでかけた手間や労力が無駄になってしまうこともあるのです。
また不動産に抵当権が付いていたり、被相続人の借金が残っていたりする場合は、とくに慎重に判断しなければならないことが多くあります。
- 申立てするかどうかの判断
- 裁判所への働きかけ
- 申立人にとって利益の高い売却方法を模索する
上記の工程には、弁護士のサポートが不可欠だといえるでしょう。
それと同時に、相続不動産の価値を見極め、不動産を確実により好条件で売ってくれる不動産業者との連携が求められます。
まとめ
相続人がいない不動産を売却するには、相続財産管理人の選任や名義変更、裁判所や債権者とのやり取りなど、一般的な不動産売却とは全く異なる手続きが必要です。
利害関係者が申し立てることで相続財産管理人は選任されますが、期待通りの分配や分与となる保証はありません。相続人がいない不動産を少しでも好条件で売却するには、裁判所への交渉力とともに、抵当権者や債権者と協力のもと手続きを進めていく体制も必要です。
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