築30年、40年を迎えると、マンションの寿命が気になってくるのではないでしょうか?
改修工事などで建物の安全性が維持・向上できない「寿命を迎えたマンション」が辿る道筋は、建て替え、もしくは全戸売却あるいは敷地売却です。
マンションの寿命は平均何年?
結論から申し上げると、マンションの寿命はマンションが建てられた時期や立地、管理状況・修繕状況等によって大きく異なります。
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造の建物の耐用年数は「47年」とされていますが、これがそのままマンションの寿命となるわけではありません。
マンションの建て替え事例は少ない
日本でマンションが広く建てられるようになったのは、1960~1970年頃から。現時点で築50年を超えているマンションの数は、決して多くありません。
そのため、マンションの建て替えが実施された例も少ないというのが現状です。
(出典:国土交通省)
2020(令和2)年4月時点の建て替え完了数は、254。これが日本全国の数ですから、いかに事例が少ないかがおわかりいただけるでしょう。
建て替えが実施されたマンションの平均築年数は、築30年代。しかし、これまでに建て替えが実施されたマンションの多くは「寿命」によるものばかりではなく、区画整理などの特殊な要因が発生したケースも含まれています。
やはりそもそも建て替え事例がいまだ少ないため、こちらの平均値はあまり参考にはならないといえるでしょう。
マンションの平均寿命は「65年」というデータも
(出典:早稲田大学「建築寿命に関する研究」)
早稲田大学による論文によれば、鉄骨造のマンションの建築寿命は「65年」ほど。ただご覧の通り、最新のデータになるにつれ寿命は延びています。
建築技術やコンクリートなどの建材の強度は日々進化しているため、今後ますます建物の寿命は延び、築年数の浅い建物ほど寿命は長くなると考えられます。
配管の寿命がマンションの寿命になってしまうことも
「建物」としての寿命ではなく、配管設備が劣化したために寿命を迎えるマンションも少なくありません。
マンションの構造部分のコンクリートに配管が埋め込まれてしまっていると、交換が非常に難しくなります。
とくに築30年以上のマンションは金属製の配管が多く使われているため、サビや腐食によって漏水や詰まりなど生活していく上で致命的ともなる欠陥が生じてしまう可能性があるのです。
また管理状況によっては、「配管の位置がわからない」「修繕履歴が残っていない」なんてことも。
寿命を迎えたマンションの選択肢は建て替えor売却
寿命を迎えたマンションの選択肢は、大きく分けて「建て替え」と「売却」に分かれます。
1. 建て替え
(出典:国土交通省)
今の住人がそのままマンションに住み続けられる方法が、建て替えです。
建て替え中には一時的に工事のため退去する必要がありますが、建て替え完了後に再入居できます。
2.売却
(出典:国土交通省)
一方で、マンションの全戸、あるいは敷地を売却し、売却後、住人は別の住まいに移るという選択肢もあります。
売却後、買い取った業者が再建したマンションに一部住人が再入居するケースも。ただし、買い取った業者が必ずしもマンションを再建するとは限りません。
全戸売却、あるいは敷地売却のハードルとなるのは、買取業者を見つけることです。やはり業者も利益を出すことを目的に買い取るため、立地や条件によっては買取業者が見つからず「売りたいけど売れない」事態にもなりかねません。
寿命を迎えたマンションの建て替え・売却の「合意形成」の難しさ
マンションの建て替えおよび売却には、原則的に住人の4/5以上の賛成が必要です。
年齢が高い方ほど永住志向が強く、建て替えのために仮住まい先へ転居すること、あるいはその場所に戻ってこれなくなる可能性がある売却に同意する傾向は低くなるものです。
また、資金面が合意形成の足かせになるケースもあります。
マンションの建て替えでは、住人から一時金が徴収されることも少なくありません。この一時金は、1,000万円を超えることも。さらに仮住まい先の家賃や引っ越し費用を考えると、建て替えが必要だと思っていてもなかなか決断できない住人が多くなることも推測されます。
さらに売却するにしても、区分所有者に新居を購入できるほどの売却金が分配されないことも起こりかねません。
マンションの建て替え・売却には適切なセカンドオピニオンを
マンションの建て替えおよび売却には、時間を要します。寿命を迎える前から管理組合で方向性を決定し、合意形成に向けた告知をしていることがベストですが、なかなかうまくいくものではないでしょう。
日常の管理・メンテンナンスと同様に、建て替え・売却の意志を決定するのはマンションの住人に他なりません。とはいえ、判断するためには建て替えや敷地売却に付帯する法律の理解や構造面に関する専門的な知識は不可欠だといえます。
先述通り、日本全国で建て替えが実施されたマンションはまだ200数件。マンションの寿命に直面した管理会社のほうが圧倒的に少ないといえます。
弊社、不動産あんしん相談室は、宅建士の上位資格である「公認不動産コンサルティングマスター」が代表を務める一般社団法人です。
マンションの建て替えや売却に伴うセカンドオピニオン、そしてマンションの全戸買取・敷地買取にも対応しております。
- そもそも建て替えや売却を検討すべき時期なのかわからない
- 住人の同意が取れない
- 売却先が見つからない
- 建て替え業者が決まらない
初回相談は1時間無料です。どんな悩みでもお聞かせいただければ、状況に応じて弁護士などの専門家とともに最適な解決方法をご提示させていただきます。
まとめ
「マンションの寿命」は、もはや社会問題化しているといっても過言ではありません。全国的に建て替えや売却の必要性があるマンションは増加していますが、それでも事例の数は一向に増えません。
その背景には、合意形成の難しさや資金的な問題があります。とはいえ、問題を先延ばしていても、建物の価値や安全性は低下していくばかり。早期ご決断と住人の皆様にとって最適なご決断ができるよう、ぜひ不動産あんしん相談室のセカンドオピニオンサービスをご活用ください。