競売を申し立てられてお困りの方は「無剰余取消し」制度を知っておきましょう。この制度によって、競売を回避できる可能性があります。
ただし、同制度は裁判所が判断するもの。申し立てられた側が同制度を利用できるわけではありません。
本記事では、競売における無剰余取消し制度とともに、競売を避けて任意売却やリースバックする方法について事例を交えながら解説します。
競売における「無剰余取消し」とは?
競売は、不動産を差し押さえて売却し、売却金から配当を受けて債権の回収を図るために行われるものです。
申し立てるのは、債権が回収できる見込みがないと判断した債権者(お金を貸している者)。しかし、競売には「配当順位」があるため、必ずしも申し立てた債権者が優先して配当を受けられるわけではありません。
競売の「配当順位」
競売における「配当順位」とは、優先的に配当を受けられる順番のことです。
「抵当権」によって担保される不動産は、多くの場合、第一優先権を得るのは不動産に対して融資をしている金融機関。不動産のローン以外に、カードローンや消費者金融などで借り入れている場合は、これらの債権者は配当順位が下がります。
「無剰余」とは?
たとえば、不動産の価値が2,000万円、最も配当順位が高い金融機関が貸しているローンが2,500万円だったとしましょう。この場合、不動産を競売にかけても、金融機関が回収できる金額は最大2,000万円。実際には、経費などがかかるためこれよりも低い金額になります。
最も配当順位が高い金融機関がすべての債権を回収できないとなれば、配当順位が2位、3位の債権者が回収できる債権はゼロ。「無剰余」とは、このように競売をしても債権が回収できない状態を指します。
「無剰余取消し」とは?
裁判所が「無剰余」と判断した申し立てには、民事執行法63条2項に則り、差し押さえ債権者に通知し、申し立てを取消します。これを「無剰余取消し」といいます。
しかし、必ず申し立てが取り消されるわけではありません。民事執行法の該当箇所を見てみましょう。
(民事執行法63条2項)
差押債権者が、前項の規定による通知を受けた日から一週間以内に、優先債権がない場合にあつては手続費用の見込額を超える額、優先債権がある場合にあつては手続費用及び優先債権の見込額の合計額以上の額を定めて、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める申出及び保証の提供をしないときは、執行裁判所は、差押債権者の申立てに係る強制競売の手続を取り消さなければならない。ただし、差押債権者が、その期間内に、前項各号のいずれにも該当しないことを証明したとき、又は同項第二号に該当する場合であって不動産の買受可能価額が手続費用の見込額を超える場合において、不動産の売却について優先債権を有する者の同意を得たことを証明したときは、この限りでない。1. 差押債権者が不動産の買受人になることができる場合
申出額に達する買受けの申出がないときは、自ら申出額で不動産を買い受ける旨の申出及び申出額に相当する保証の提供
2.差押債権者が不動産の買受人になることができない場合
買受けの申出の額が申出額に達しないときは、申出額と買受けの申出の額との差額を負担する旨の申出及び申出額と買受可能価額との差額に相当する保証の提供
つまり、申し立てた債権者自らが高値で買い受ける、あるいは順位の高い債権者の同意が得られれば競売は続行となります。
無剰余取消し後に任意売却ができた事例
住宅ローンを滞りなく返済していても、消費者金融やカードローンなどの債権者から競売を申し立てられることもあります。しかし、無剰余取消し制度を活用して競売を回避し、不動産の売却や任意売却ができた事例も複数あります。
ここからは、不動産あんしん相談室が実際に対応した事例をご紹介します。
消費者金融への返済が滞った結果、自宅が差し押さえに合い、強制競売の通知がきました。 住宅ローンはきちんと支払っていたのに、まさか消費者金融から差し押さえが来るなんて……と、どうしていいかわからず途方に暮れている折に、不動産あんしん相談室の「競売解決」の広告を見て相談させてもらいました。 コンサルタントの方がとても丁寧に対応してくださり、説明のわかりやすさや対応の早さから安心してお任せすることができました。 無事、自宅を買い取っていただき、債務整理をするために弁護士の先生もご紹介いただいて、何から何まで本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
「強制競売」とは、抵当権以外の債権差し押えを指します。「住宅ローンを支払っているからずっと自宅に住み続けられる」と思っていらっしゃる方も多いですが、 その他に借金があれば自宅を差し押さえられる可能性があります。
本事例は、すでに不動産が差し押さえられた後のご相談でしたが、競売を回避し、当相談室にて買い取らせていただきました。無剰余取消しができたからといって、すべての問題が解決されるわけではありません。本事例のご相談者様のように、債務整理をしたり、自宅を売却して借金の返済に当てたりする必要があります。
当相談室は「競売トラブル解決」を得意としておりますので、弁護士などの専門家と連携し、どうすればお客様のご要望に沿った解決できるかを丁寧かつ具体的にお伝えすることが可能です。
妻と子供が4人おりますが、自宅を競売にかけられてしまい、不安だったところ不動産あんしん相談室に相談いたしました。当初は競売でしたが、無剰余取り消し制度で任意売却を行うことになりました。高く買い取ってもらいたかったので、出来るかどうか不安でしたが、迅速に買い取り先を見つけていただきました。また取引前にも市役所からの差し押さえが入ったのですが、解除交渉も行っていただきました。ありがとうございました。
こちらは、債権者が無剰余取消し制度を利用したことによって、結果的に競売が回避できた事例です。任意売却には、次のようなメリットがあります。
- 市場価格で売却できる
- 自己負担ゼロ。引っ越し費用も売却金から捻出可能
- 周囲に知られずに売却できる
- 残った債務は債権者との交渉のうえ無理のない返済計画を立てられる
- 滞納している税金も精算できる
- ゆとりをもって今後を段取りできる
競売では、市場価格を大幅に下回る金額で落札されることも少なくありません。また、税金の滞納分もそのまま残り、落札後も残った債務の一括返済を求められることもあります。
本事例は時間のかかる難しい案件でしたが、無事に解決することができました。当相談室は女性社員が多く、きめ細やかな対応が喜ばれております。
無剰余取消し後にリースバックも可能
無剰余取消し制度によって競売を回避することができますが、競売回避後の選択肢は任意売却だけではありません。
任意売却は転居が避けられませんが「リースバック」は、売却後に買主から賃貸することで自宅に住み続けることができます。当相談室は、任意売却とリースバックを併用したうえで、直接買い取らせていただくことも可能です。
住宅ローン返済が厳しいながらも自宅から引っ越したくないという方も、一度ご相談ください。
まとめ
競売は、債権者が無剰余取消し制度を利用することにより、結果的に避けられることもあります。
しかし、これは住宅ローンを借りている金融機関以外は100%競売ができないということではありません。申し立てた債権者は、無剰余取消しを回避することもできます。また、借金の返済が滞っているからこその競売申し立てであることを考えれば、問題を解決するには不動産を売却することも検討する必要があるでしょう。また、本文中でも再三、申し上げている通り、債務者自らが無剰余取消しを申請できるわけではないことはご認識ください。
いずれにしても、差し押え、競売手続きが開始……と対応時期が遅れれば遅れるほど、取れる対策が限られます。対応時期が早ければ、任意売却のみならずリースバックや一般的な不動産売却が検討できるケースもあります。裁判所から書類や通知が来た際には、問題を放置せずに早めに当相談室までご相談ください。
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