住宅ローンを滞納していても、リースバックを検討できる場合があります。しかし、滞納しているかどうかだけで決まるわけではありません。
リースバックを成立させるには、自宅の売却代金で住宅ローンや差押債権を整理できるか、抵当権者等の同意を得られるか、売却後の家賃を継続して払えるかなど、複数の条件を確認します。
結論|滞納中でも可能性はあるが、7項目の確認が必要
相談時に主に確認するのは次の7項目です。
- 不動産の現在価格
- 住宅ローン残高
- 滞納期間と届いている通知
- 抵当権・差押え・税金滞納
- 所有者と共有者
- 売却後に払える家賃
- 希望する居住期間と買戻し希望
「滞納しているから利用できない」「差押えがあるから絶対無理」と自己判断せず、登記、残高、査定を確認することが重要です。
1. 不動産の現在価格
最初に、リースバック事業者がいくらで買い取れるかを確認します。一般の仲介売却価格とリースバックの買取価格は同じとは限りません。
立地、築年数、建物状態、流通性、将来の売却可能性などが査定に影響します。高い査定額だけでなく、実際に決済できる条件かを比較してください。
2. 住宅ローン残高
査定額と住宅ローン残高の差が重要です。
| 状況 | 基本的な考え方 |
|---|---|
| 買取価格が残高を上回る | 完済・抵当権抹消の可能性を確認 |
| 買取価格と残高が近い | 諸費用を含めた精査が必要 |
| 買取価格が残高を下回る | 任意売却として抵当権者の同意が必要になる可能性 |
住宅ローン残高が価格を上回っていても、金融機関等の同意を得て任意売却とリースバックを組み合わせられる場合があります。ただし、必ず同意されるものではありません。
3. 滞納期間と届いている通知
滞納前、督促段階、一括請求、代位弁済、競売開始決定では、使える時間と必要な調整が異なります。
相談時には、書類名と受領日を正確に伝えてください。裁判所からの通知が届いている場合は、法律専門家への相談も必要です。
4. 抵当権・差押え・税金滞納
リースバックでは所有権を買主へ移すため、原則として売却に支障となる抵当権や差押登記を整理する必要があります。
カードローン債権者、税務当局、管理組合など複数の債権がある場合は、売却代金の配分と解除条件の調整が必要です。所有者だけの判断で解除できるものではありません。
5. 所有者と共有者
共有名義の不動産を全体として売却するには、原則として共有者全員の協力が必要です。離婚した元配偶者、疎遠な親族、相続人などが共有者の場合、早めに意思確認を行います。
また、所有者と住宅ローン債務者が異なる場合は、契約関係を個別に確認します。
6. 売却後に払える家賃
リースバックは、売却後に賃貸借契約を結び、毎月家賃を支払って住み続ける仕組みです。売却できても、家賃が家計に合わなければ長期的な居住は難しくなります。
確認する数字は次のとおりです。
- 手取り月収
- 生活費
- 他の借金返済額
- 売却後の家賃
- 管理費等の負担区分
- 更新・再契約・保証料等の費用
不動産あんしん相談室では普通賃貸借を基本とし、契約期間中に貸主側から一方的な家賃値上げを行わない方針ですが、契約条件は必ず書面で確認してください。
7. 居住期間と買戻し希望
「子どもの卒業まで」「高齢の親が暮らせる間」「将来買い戻したい」など、必要な居住期間を明確にします。
買戻しを希望する場合は、買戻し価格、期限、条件、資金調達の見込みを書面で確認してください。「いつか買い戻せる」という口頭説明だけで判断しないことが重要です。
任意売却・通常売却・リースバックの違い
| 方法 | 所有権 | 住み続ける | 主な条件 |
|---|---|---|---|
| 通常売却 | 買主へ移転 | 原則不可 | ローン等を完済・抹消できる |
| 任意売却 | 買主へ移転 | 原則不可 | 抵当権者等の同意 |
| リースバック | 買主へ移転 | 賃貸で可能 | 売買と賃貸借の両方が成立 |
| 任意売却+リースバック | 買主へ移転 | 賃貸で可能性 | 債権者調整と賃貸審査 |
契約前に比較する項目
- 買取価格
- 毎月の家賃
- 普通賃貸借か定期借家か
- 契約期間
- 更新・再契約の条件
- 家賃改定条項
- 敷金、保証料、保険料
- 修繕費と固定資産税の負担
- 買戻し条件
- 退去時の条件
消費者庁と国民生活センターも、リースバックでは売却価格、家賃、契約条件を十分確認し、勧誘を受けてもその場で契約しないよう注意を促しています。
出典:
利用が難しい可能性があるケース
- 買取価格と債務額の差が大きく、債権者の同意が得られない
- 共有者が売却に同意しない
- 家賃を継続して支払う見込みが立たない
- 建物状態や権利関係に重大な問題がある
- 競売手続が進み、調整時間が足りない
- 買戻しを前提にしているが資金計画がない
断られた場合も、通常売却、任意売却、債務整理、転居支援など別の方法を検討します。
よくある質問
住宅ローンを何回滞納すると利用できませんか?
一律の回数基準では決まりません。届いている通知、債権関係、査定額、残高、手続の進行状況を確認します。
カードローンも滞納しています
カードローン債権者による差押えや裁判の有無を確認します。借金整理は弁護士等、不動産の売却条件は不動産会社へ相談してください。
競売開始決定後でも可能ですか?
可能性が残る場合はありますが、期限と債権者調整が重要です。必ず成立するものではありません。
家賃はいくらになりますか?
買取価格、物件、事業者の基準等によります。売却価格だけでなく、継続可能な家賃かを確認してください。
家賃は値上げされますか?
契約条項と借地借家法等による判断が必要です。不動産あんしん相談室では普通賃貸借を基本とし、契約期間中に貸主側から一方的な家賃値上げを行わない方針です。契約書で条件を確認してください。
必ず買い戻せますか?
必ずではありません。買戻し価格、期限、資金調達などの条件を満たす必要があります。
まとめ
住宅ローン滞納中でもリースバックを検討できる場合がありますが、査定額だけでは判断できません。残高、差押え、共有者、家賃、契約期間まで確認し、任意売却や債務整理を含めて比較してください。
相談時には、住宅ローン残高、届いた通知、登記、収入、希望する居住期間を伝えると確認が進みやすくなります。
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