住宅ローンや管理費等の滞納が一定期間続くと、金融機関は競売に向けた手続きを開始します。この段階になるとローンを継続することはできず、債権者は債務の一括返済をもとめてきます。
競売の開始が決定するのは、ローンの滞納から半年ほど。そして競売の開始決定から実際に競売が開札するまでも、およそ半年ほどです。
債務者がなにも行動を起こさなければ、競売の手続きが進み、競売にかけられた家は落札され、強制退去を余儀なくされます。それを回避するためには、競売を取り下げてもらうしかありません。
こちらでは、競売を取り下げるための期限と条件について解説していきます。
競売を取り下げられる期限と条件
「競売の取り下げ」とは、競売を申し立てた債権者が申し立てを撤回する行為です。つまり開始が決定した競売は、債権者に取り下げてもらう必要があるんですね。
では債権者は、どうしたら競売を取り下げてくれるのでしょうか?
競売を取り下げることができる期限
まず競売は、申し立ての取り下げができる期限が決まっています。
基本的に、取り下げが可能なのは競売の開札日の前日まで。このときまでなら、自由に取り下げることができます。
開札してから買受人(落札者)が決まった後でも、取り下は可能ではあります。ただしこの場合は、買受人の同意を得なければ取り下げることはできません。また買受人による代金納付の後は、いかなる理由でも競売を取り下げることはできません。
競売の開始決定の通知が来てから開札までは、6カ月ほど。つまりこの間が、確実に競売を取り下げてもらうための期限となるわけです。
申し立てを取り下げてもらうための条件
債権者が競売の申し立てを取り下げてくれる条件の1つは、債務の一括返済です。しかし住宅ローンなどが滞ったための競売申し立てですから、この時点で債務者に一括返済できる資金力はないでしょう。
任意売却とは、債務の一部や全部を返済するため、債権者に許可を得て該当不動産を売却することです。売却後に債務が残るような場合には、無理のない計画で返済を続けさせてもらうことも併せて債権者に認めてもらいます。任意売却は競売より高額で売却できる可能性が高いので、債権者も許可してくれるケースが多いです。
ただし任意売却を認めてもらうことは、競売の申し立てを取り下げてもらうことに直結しません。
任意売却の許可を得たら、競売の開札日の前日までに該当不動産を売り切って、売却金額を受領し、債権者の応じる額を返済する必要があります。
つまり任意売却の許可を得れば安心なのではなく、期限までに決められた金額以上で売ることが競売の取り下げには不可欠だということです。
任意売却についてはコチラもご覧ください。
任意売却は時間との戦い
任意売却といっても、一般的な不動産売却と変わりありません。基本的に買主となるのは一般消費者なので、販売活動や内覧を経て、最終的に購入を決めていただかない限り売ることはできません。また債権者の許可を得ている以上、売却金額も簡単に下げることはできないので、まさに時間との戦いだといえます。
任意売却によって売却金額を得るまでの期限は、およそ半年間。この間に売り切らなければ、競売を取り下げてもらうことはできないのです。
「買取」という選択肢を考える
- 半年間で売れるか心配
- 確実に売りたい」
- すでに競売の取り下げ期日が迫っている
という場合には、任意売却の中でも「買取」という売却方法を考えてみましょう。
「買取」についてはコチラもご覧ください。
「買取」とは、不動産業者に直接買い取ってもらうという売却方法です。つまり買主が一般消費者ではなく、不動産業者になるということ。それによって、より早く、より確実に売ることが可能になるんです。
「仲介」による売却のデメリットと「買取」のメリット
不動産会社に仲介してもらって買主を見つけるという売却方法は、売れる時間が読めないというデメリットがあります。
すぐに買主が見つかるとは限りませんし、見つかったとしてもその人の住宅ローン審査やスケジュールによって、決済までに時間を要する可能性もあるんです。これは、時間との戦いである任意売却にとって致命的となることも考えられるわけです。
一方、「買取」であれば買主があらかじめ決まっているので、最短1週間ほどで売却が可能。
しかし、任意売却で「買取」にも対応してくれる業者は数少ないのが事実。そもそも金融機関とのやり取りや、法律の知識が必要な任意売却を積極的におこなってくれる業者を見つけるのもまず大変なんですね。そんな中、「買取」にも対応してくれる業者を選ぶことができれば、競売の脅威が迫っている債務者にとって大きな安心になります。
まとめ
競売の開始通知が来てしまったら、取り下げるための行動を起こさなければなりません。
取り下げてもらうには、債権者への交渉とともに、確実に家を売り切ることがなにより重要となります。取り下げには期限と条件がありますから、できる限り早く、適切な専門機関に相談するようにしてください。
すでに競売の取り下げ期日が迫っていても「買取」によって任意売却することができれば、今の状況を打開することが可能です。