住宅ローンの「繰り延べ返済」は解決策になるのか?
住宅ローンの支払いが厳しくなったとき、金融機関に相談して繰り延べの手続きをするという方法があります。
住宅ローンの繰り延べ(リスケ、リスケジュール)とは、返済計画を見直して月々の返済額を減らすことです。
たとえば月々10万円の住宅ローンの支払いが難しくなった場合、月々の返済額を減らす必要がある為にボーナス払いの金額を多くしたり、返済期間を長くしたりします。
実際住宅ローンに対しては、「支払い期間の延長」「元金支払い一時停止」を施すことになります。
ですので、結果的に当初の金利が下がったり、元金が減ったりということはありません。
ローン支払い期間が長くなるため、完済時の年齢が高くなってしまいますし、返済総額が多くなってしまいます。
一時的ともいえるこの方法は、将来確実に収入が見込める一部の方を除いて、現在の状況ではおすすめできるものではないと考えます。
年功序列の時代は終わりつつある
一昔前は「何年か経てば、給料が上がって今より生活が楽になる。経済的な余裕がでてくるはず」
こう言った事を信じて将来に見通しを立てることができました。
そして、何十年も先、自分たちが定年を迎えるまでローンの支払いに困ることはないだろうと漠然と思っていたし、定年後の支払いも、蓄えや退職金などで賄えるだとうと考えていました。
しかし、現在、先の事が全く読めなくなってきています。
金利が安くなったと喜ぶのはいいですが、この状況が35年先まで続くとは到底思えません。
35年後まで給料が上がり続け、無事定年まで働き続ける事ができるのか、誰も保証される世の中ではなくなったと思っています。
人生100年時代!老後破産に注意
暗い事ばかり言いますが、右肩上がりの時代ではなくなったこと、現状よりマイナスの状況に見舞われるかもしれないといった最悪の事態も、もっと現実的に考えていかないといけないと思うのです。
実際、住宅ローンが重荷になる老後破産も話題になっています。
今後、年金受給額が確実に減っていく状況で、老後に住宅ローンで苦しむ人が増えていくのは必至です。
そんな状況で「今苦しいから」とローンの重荷を先延ばしにするのはとても危険だと言えます。
実際、住宅ローンで苦しんでおられる方には「プライドや見栄が邪魔してなかなか状況を変えることが出来ないでいた」と言われる方もいらっしゃいます。
問題を先延ばししてしまい、現実には目をつむって住み続けても必ず、減っていない元本に利息が付いて、将来支払いが増えてしまいます。
住宅ローンの返済が厳しくなる前に相談を
本当にどうしようもならない状況になる前に手を打つことが大切です。
住宅ローンは返済が一度でも遅れると、個人情報に傷がついてしまいます。
返済が数回滞るとブラックリストに載ることになり、競売でマイホームを手放さざるを得なくなる状況に追い込まれてしまうのです。
少しでも支払い続ける事に不安を感じたら、先々に確実な見込みがあればローンを繰り延べるという手もあるのですが、まずは専門家にご相談することをおすすめいたします。