相続対策や老後資金への不安などから、マンション・アパート経営を始める人が増えています。
しかし、日本の人口・世帯数は減少していき、空き家は増加するばかり。2018年度の日本の空き家率は13.6%と過去最高の水準になっていますが、内訳をみてみますと、空き家の半数以上を占めているのが賃貸用の住宅です。今後はさらに、賃貸物件が有り余る時代がやってくるとみられます。
いくら戸数が多くても、表面利回りが高い物件だとしても、実際に入居者がいなければ経営は立ち行きません。昨今では、働き方の多様化や単身世帯の増加などから、住まいにもとめるニーズも大きく変化しています。
必要なのは、“時代”を意識した空室対策なのです。
空室対策1.とにかく綺麗に魅せる
マンションを借りる上で、内見をしない人はいません。
内見があるにも関わらず申し込みに繋がらないという場合には、内見時に“ガッカリ”させてしまっているからに他ならないでしょう。
必要に応じて費用をかけた修繕を
築年数相応の劣化は仕方ない部分もありますが、必要に応じて、壁紙や床材の張替えなど費用をかけることも必要です。
また、ちょっとした“内見準備”も、内見者の心つかむためには効果的です。スリッパを用意したり、生活をイメージできるようなおしゃれな調理器具を置いてみたり、お花を生けてみたり…「おもてなし」の気持ちを持って内見に備えましょう。
ファミリーの場合にも、お部屋の決定権を持つのは多くの場合、奥様ですので、女性の視点でお部屋を見回してみることが重要です。男性の単身者だとしても、隅から隅まで綺麗に整っている家を見て不快に感じる人はいないはずです。
共用部もぬかりなく
せっかく部屋を綺麗にしても、意外と見落としがちなのが共用部分です。
内見者は、共用部の状態から管理体制やどんな居住者が住んでいるのかなどを想像します。
もし玄関前に自転車などの私物を置いている居住者がいたら、撤去してもらうように伝え、ゴミ置き場や廊下、階段の清掃を徹底するようにしましょう。
空室対策2.設備を入れ替える
最近の入居者は、立地や間取り以外の「こだわり」を重視する傾向にあります。
ネット環境や働き方改革が進み、自宅内での仕事・勉強のためのスペースや、住まい自体の満足度を求めている人が増えているのです。
たとえば、at homeの“こだわり検索”には、以下のような項目があります。
- IHクッキングヒーター
- 2口以上コンロ
- 浄水器
- 食洗器
- エアコン
- 温水便座
- 浴室乾燥機
- 追い炊き機能
- シャワー付き洗面化粧台
後からでも付けられる設備をピックアップしてみましたが、これらを備えることで、こだわり検索する入居者に物件情報を見せることができます。
もちろん費用はかかりますが、ニーズによって提供するものを変えていくことは、経営の根幹でもあります。
そして、昔から現在まで揺るがない「住まいに求められるニーズ」は、水回りの清潔さや利便性です。
とくに近年、キッチンやお風呂は機能性が格段に向上しています。築15年、20年の物件で、水回り設備の入れ替えをしていない場合には、検討してみるといいでしょう。
空室対策3.インターネット回線を入れる
設備の1つではありますが、空室対策として効果が出やすいものに、インターネット回線を入れるということがあげられます。
今や、年齢・性別・単身・ファミリー問わず、インターネットは生活に不可欠な存在。スマホを持っていたとしても、データ容量の上限があったり、パソコンやその他の機器でもインターネットを使用したりするので、住まいの設備としてのインターネット回線は必須だとえいます。
マンションにインターネット回線が入っていない場合には、入居者自らが契約し、工事に立ち会って回線をいれなくてはなりません。費用負担は、毎月、数千円。その労力と費用を考えると、「インターネット無料のマンションに住みたい!」と思う人が多くいるのです。
空室対策4.管理会社を見直す
入居者募集などは、現在、管理会社に委託していますか?もし、委託している状況においても空室率が高く、空室が続いているようであれば、管理会社の変更を検討した方がいいでしょう。
賃貸経営の成功は、管理会社にかかっているといっても過言ではありません。
管理会社の役割
そもそも管理会社の役割は、募集業務や契約業務、家賃回収などの“業務代行”だけではありません。
- 空室が続いている場合の改善のための提案、助言
- 空室率が高い場合の経営全体の改善のための提案、助言
このような、専門知識を持った者なりのコンサルティングもまた、賃貸管理会社には求められます。
管理会社と一口でいっても、委託の範囲も違えば、積極性も様々。
昨今では、人口減少や超高齢化の流れと逆行するように、マンションやアパートの建設が続いています。そのため、マンション経営もしっかりと“戦略”を練らなければ生き残ることはできません。
効果的な提案もなしに家賃を下げる提案ばかりし、そもそも状況改善のための提案ができない管理会社は、“プロ”とは言えないのです。
管理会社の変更方法
管理会社を変えるには、まずは管理会社に相談し、見積もりをもらうことから始めてみましょう。
管理会社を選ぶ上で見定めるべきなのは、売買・賃貸・投資の知識、金融機関とのパイプ、各専門家との連携…など、不動産のあらゆる分野の知識や経験があることです。
出口やより好条件の投資物件への買い替えを見越して管理会社を選ぶことで、ワンストップのサポートを受けることができます。
管理会社同士の引継ぎや居住者への変更の連絡は、新規の管理会社が請け負ってくれるはずですので、オーナーが手間に感じることはないでしょう。
管理会社変更時の注意点
管理会社の変更自体はオーナーの手間にはなりませんが、変更に伴う注意点がいくつかあります。
管理委託契約書を確認
まずは、現在の管理会社と締結している「管理委託契約書」をご確認ください。
管理業務の内容や範囲を改めて確認し、正しく業務が履行されているか、現状、不足と思われる業務や費用がないかを、変更の前に再認識するようにしましょう。
また、管理解約の際の予告期間やペナルティがないかの確認も重要です。
家賃の振込口座や保証会社の変更が必要なことも
管理会社または管理委託契約の内容によっては、家賃振込口座の変更や保証会社が引き継げない可能性があります。
変更が必要になれば、入居者からは「めんどくさい…」と思われてしまうことは否めません。ただその場合には、告知の仕方を工夫することで解消できます。
たとえば、「管理会社を変更すると共用部はもっと綺麗になります。」「管理体制向上のための変更です。」など、前向きな変更だと伝えるといいでしょう。
また保証会社を変更しなければならない場合には、再度、保証料を納付しなければならなくなり、出費がかさんでしまいます。ただ管理会社を変更したことで管理状態が改善され、空室率が下がるとすれば、致し方ない出費ともいえるでしょう。
金融機関へ連絡した方が◎
融資を受けている場合には、金融機関にも管理会社の変更を伝えた方がいいでしょう。
とはいえ必須事項ではありませんので、新規の管理会社が信頼できれば、お任せしてしまってもいい部分だと思います。
まとめ
立地や築年数などの条件が悪い物件は、満室を目指すことが容易ではありません。しかし、入居者にとってプラスの価値となる条件は、後からでも付加することができます。
空室対策する上で重要なのは、なにを価値とし、物件に付加していくのか。地域によっても物件によっても、市場の細かなニーズは異なります。
当相談室でも、賃貸管理をおこなっております。
不動産あんしん相談室の代表は、宅建士のさらに上位の資格である公認不動産コンサルティングマスター。不動産に関するプロフェッショナルとして、賃貸経営に関する知識はもちろん、経済や税制、売買の知識や経験をもって、トータルサポートさせていただきます。
空室対策、業務改善のために最も大切なことは、管理会社のプロとしての提案だと考えております。サポート体制の無い管理会社にお困りの場合は、ぜひご相談ください。