「お金がないから離婚も別居もできない」とお悩みではありませんか?
収入がない専業主婦でも、離婚前の婚姻費用、離婚時の財産分与、離婚後の養育費や公的支援を利用できる可能性があります。ただし、すぐに支給されるとは限らず、申立て・合意・申請が必要です。家が夫名義でも財産分与の対象になり得るため、離婚届を出す前に「生活費」「住まい」「財産と住宅ローン」を整理しましょう。
- 別居後の生活費と婚姻費用の請求方法
- 預貯金・保険・退職金・不動産などの夫婦共有財産
- 家の所有名義、住宅ローンの債務者・保証人・残高
- 離婚後3〜6か月の住居費と生活費
- 児童扶養手当などの申請先・必要書類・支給開始時期
「離婚前」にもらえるお金
まず、離婚に向けた別居中には、収入のある夫から「婚姻費用」を分担してもらえる可能性があります。
婚姻費用とは
婚姻費用とは、夫婦や未成熟子の生活費などの婚姻生活を維持するために必要な一切の費用。衣食住の費用のほか、出産費や医療費、養育費、教育費などが含まれます。
法律では、夫婦がその収入に応じた婚姻費用を負担する義務があります。夫に収入があり妻が専業主婦である場合、婚姻関係が続いている間は、別居中でも原則として婚姻費用の分担を求められます。話し合いで決まらないときは、家庭裁判所へ婚姻費用分担調停を申し立てる方法があります。
婚姻費用の相場
裁判所によれば、子なし・夫婦のみで夫の収入が600万円の場合の婚姻費用の相場は「6〜10万円」ほど。15歳未満の子が1人いる場合は「10〜12万円」ほどとされています。
「離婚時」にもらえるお金
離婚時には、夫から次のような費用をもらえる可能性があります。
財産分与
財産分与では、婚姻中に夫婦の協力で築いた預貯金・不動産などを清算します。名義だけで対象外になるわけではなく、実務上は夫婦の寄与を同程度として2分の1を基準に検討することが一般的です。一方、婚姻前からの財産や相続・贈与で得た財産は、原則として対象外です。
離婚後も夫名義の家に妻子が住み、夫が住宅ローンを返済する取り決めもあります。ただし、金融機関との契約は夫婦間の合意だけでは変更されません。夫の滞納・売却・死亡などで居住を失うリスクがあるため、ローン残高と査定価格を確認し、売却・借り換え・持分買取も比較しましょう。
慰謝料
夫の責任で離婚に至った場合は、夫に対し、慰謝料を請求できます。慰謝料は「精神的苦痛」に対する賠償金であるため、不貞行為はもちろん、暴力や、正当な理由なく生活費を渡さないなどの悪意の遺棄がある場合も請求できる可能性があります。
また、財産分与に慰謝料の役割を持たせるケースもみられます。これを「慰謝料的財産分与」といいます。たとえば、離婚原因を作ったのが夫であれば、慰謝料の代わりに多めに財産分与を受けるという取り決めも可能です。
「離婚後」にもらえるお金
離婚後は、離婚した夫以外にも公的援助を受けられる可能性があります。
養育費
離婚して子どもと離れて暮らす親も、親であることは変わりないため子の養育費の支払い義務を負います。
養育費の金額や支払い時期、支払い方法は、夫婦で話し合って決めることとなりますが、裁判所によれば年収600万円の夫が子ども1人(15歳未満)に支払う養育費は4〜8万円/月ほど、子ども2人(いずれも15歳未満)の場合は8〜10万円/月ほどが妥当としています。養育費の算定表は、裁判所ホームページをご参照ください。
なお先述の通り、養育費をもらう代わりに、元夫がローン返済を続ける家に妻子が住み続けるケースもみられます。ただし、この場合は、元夫によるローン返済が滞るリスクがあることを認識しておかなければなりません。
児童扶養手当(母子手当)
児童扶養手当は、父母の離婚などにより父または母と生計を同じくしていない児童を育てるひとり親家庭等を対象とする制度です。原則として18歳になった後の最初の3月31日まで(一定の障害がある場合は20歳未満)が対象です。
支給額は毎年度改定され、受給者本人や同居する扶養義務者の所得、扶養人数、養育費の受取額などにより、全部支給・一部支給・支給停止に分かれます。古い金額で家計を組まず、こども家庭庁の児童扶養手当案内と居住自治体の窓口で最新額を確認しましょう。
就学援助
就学援助は、経済的な理由で小中学校の学用品費・給食費・修学旅行費などの負担が難しい家庭を支援する制度です。対象要件、費目、支給額、申請期限は自治体ごとに異なり、児童扶養手当の受給だけで自動的に支給されるとは限りません。学校または居住自治体の教育委員会へ確認し、年度ごとに申請しましょう。
【無利子の貸付】母子父子寡婦福祉資金
母子父子寡婦福祉資金は、ひとり親家庭等の自立や児童の修学を支える貸付制度です。修学資金、生活資金、技能習得資金、住宅資金、転宅資金などがあります。給付ではなく返済が必要で、資金の種類や連帯保証人の有無によって無利子または年利が設定されます。限度額・審査・必要書類は資金の種類と自治体で異なるため、離婚後の居住地を管轄する福祉事務所等へ事前に相談してください。
制度概要:こども家庭庁「母子父子寡婦福祉資金貸付金」(2026年度資料)
専業主婦の離婚とお金に関するFAQ
収入がなくても別居できますか?
婚姻関係が続いている間は、別居中でも原則として収入の多い配偶者に婚姻費用を求められます。すぐに受け取れるとは限らないため、当面の生活費を確保し、話し合いが難しい場合は家庭裁判所の調停を検討しましょう。
夫名義の家でも財産分与の対象ですか?
婚姻中に夫婦の協力で取得・維持した家なら、夫単独名義でも対象になり得ます。ただし、査定価格から住宅ローン残高を差し引いた価値、頭金の出所、婚姻前財産などを確認する必要があります。
児童扶養手当は離婚後すぐにもらえますか?
自動支給ではなく自治体への申請が必要です。支給開始時期、所得判定、同居家族の扱い、必要書類は自治体へ確認し、離婚前から窓口に相談しておきましょう。
養育費の代わりに住宅ローンを払ってもらえますか?
夫婦間で取り決めることはありますが、金融機関とのローン契約や所有名義は変わりません。滞納時の競売・退去、税務、養育費としての扱いを確認し、公正証書等だけでなく不動産とローンの専門家にも相談してください。
婚姻費用・養育費の目安は裁判所「養育費・婚姻費用算定表」をご確認ください。制度情報は2026年7月時点です。
持ち家と住宅ローンの整理は妻が住み続けるための借り換え・持分買取、名義変更の費用は住宅ローンが残る家の名義変更費用もご覧ください。
まとめ
貯金や収入のない専業主婦の場合、不動産購入やリースバックが難しいため、取れる選択肢が限られているのは事実ですが、婚姻費用や財産分与、養育費、公的支援によって別居や離婚ができる可能性があります。とくにマイホームがある場合、売却および財産分与により、まとまった資金が得られるかもしれません。
元夫が住宅ローンを返済する家に妻子が住み続ける方法は、滞納時の退去リスクが残ります。「今の家に住めるか」と「長期的に安全に住めるか」は分けて考え、ローン残高・査定価格・名義・連帯保証を確認したうえで、売却、借り換え、持分買取などを比較しましょう。
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