みなさんこんにちは、不動産コンサルタントの神田です。
〝ローンの返済が厳しい〟と感じていらっしゃる方は「任意売却」や「競売」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?
どちらも不動産を売却する方法だけど、どんな違いがあってどっちが得なの?
今回はこの2つの違いと売却側にとって得だと言える視点から詳しくみていきましょう。
任意売却とは?競売とは?
任意売却とは、文字通り債務者が債権者に同意を取り、任意で不動産(住宅や土地も)を売却する方法。
そして競売は、裁判所が法律の手続き通り、債務者の意思に関わらず強制的に不動産を売却する方法です。
任意売却と競売の大きな違い
任意売却のポイント
- 主体:債務者
- 売却価格:市場価格にかぎりなく近い価格
- 必要な費用:無料(※仲介手数料や司法書士費用は売買代金から充当されます)
- 債務者の意見:取り入れながら進める
任意売却は、債務者の意思によって、自分の所有する不動産を売却するという形式を取りますので、物件の売買は通常の不動産売買とほぼ同じ方法となります。
そのため、債務者側の意思を尊重しながら交渉を進めることが可能になります。
もちろん、住宅ローンの債務が残っているため、売却できるかどうか、売却価格の決定については、債権者との交渉などは必要となります。
しかし、この後説明します競売では『債務者の意思を尊重』どころか、『相談』すらできないことを踏まえれば、有利なことに違いはないでしょう。
競売のポイント
- 主体:裁判所
- 売却価格:市場価格の3~4割引
- 必要な費用:70万円~100万円(管轄裁判所によって異なる)
※引用:http://www.courts.go.jp/akita/saiban/tetuzuki/fudosansikko/ - 債務者の意見:全く無視
競売は、住宅ローンという債務を払えなくなった債務者ではなく、住宅ローンを払ってもらえなくなった債権者の権利を守るため裁判所が行う法的整理です。
そのため、守るべき対象は明確に債権者であり、手続きは粛々と法律に則って進められます。
手続きの諸費用に関しては、原則的に債務者側の責任で行うため、債務者側が支払うこととなります。
ということは、債務者の意見を取り入れるという発想そのものがありません。
また、手続きが完了し、落札者が確定すると、住宅からは即時退去を求められます。
その際、次の引越先が決まっていない、残債務の支払い方法が分からない。
そんな時でも、待ってはくれません。
問答無用の追放処分、かつ諸費用は債務者負担という、住宅ローンの債務者にとって、とても厳しい手段となります。
売る側の立場に得があるのは「任意売却」
以上の通り、任意売却は、住宅ローンの債権者の承諾が必要という点はありますが、ほぼ通常の不動産売買と変わりなく進められます。
ただ、競売は『法律に基づいた強制的な手続き』です。
ご相談に来られる方で多いのは、『競売が「自動的に」進められるため、自分は何もしなくても勝手に処理されるので、その方が簡単だと思った。』という意見です。
確かに、任意売却は、債務者自身が業者に依頼し、手続きを始めなければなりません。
しかし、競売が最安値で住宅を売却されて、問答無用で自宅を追い出され、しかも諸費用まで自己負担という厳しいものに比べれば、任意売却は思わず『そんなうまい話あるわけがない』と疑ってしまうほどに、債務者の立場に沿った制度です。
競売シミュレーション
では、実際の残債務に併せて、競売と任意売却をシミュレーションし、一体どれぐらい、任意売却が優れているかを考えてみましょう。
今回は下記の条件でシミュレーションしてみます。
住宅ローンの残債2500万円、相場の価格2000万円の場合
実際の競売落札価格
- 1200-1400万円(市場価格の3-4割引)
気をつけなければ行けない点は、債務者は物件の売却価格である1200-1400万円を実際に手にすることはありません。
債権者側(厳密に言えば、抵当権の順)に自動的に支払われます。
また、忘れてはいけない点として、70万円~100万円がさらに手続き費用として請求されます。
よって、競売後の残債務は1100-1300万円程になるでしょう。
競売後の残債務と支払い方法
では、競売後の残債務1100-1300万円はどうやって払っていけばよいのでしょう?
『自分で考えて払ってください』
これが、競売を行った際の回答です。
競売では、残債務の支払い方法の相談などは受け付けてくれません。
ご自身で、債権者である金融機関やサービサー(債権の回収代行会社)と交渉し、相談しながら決めることとなります。
金融機関やサービサーは、自社がしっかりと回収できるよう考えて対応しますので、債務者側でしっかり交渉できないと生活もままなりません。
引越し費用は?
もちろん出してもらえるわけがありません。
それどころか逆に手続き費用を請求されます。
任意売却シミュレーション
住宅ローンの残債2500万円 時価2000万円
実際の住宅売却価格
- 1600-1800万円(市場価格の1-2割引)
任意売却の場合も、債務者が売却価格である1600-1800万円を手にすることはありません。
実際は、債権者側(厳密に言えば、抵当権の順)に自動的に支払われます。
ただし、手続き費用は一切無料です。
なぜなら、任意売却業者は、住宅ローンを支払えなくなった債務者の方から費用を受け取るのではなく、物件の売却益から自社の手続き費用を受け取っているためです。
よって、任意競売後の残債務は700-900万円ほどになるでしょう。
競売の場合と比べて、残債務が400万円ほど少なくなりました!
任意売却後の残債務と支払い方法
ほんどの任意売却業者は、残債務の支払い方法について、相談には乗りません。
厳密に言えば、相談に乗れないのです。
なぜなら、任意売却業者は『不動産の売買』についてのプロではありますが、住宅ローンの仕組みについては詳しく知らない会社が多く、個人の生活再建などに必要なファイナンシャルプランニングについては全くの素人である場合が大多数です。
そのため、物件の売却が終えた段階で、仕事は完了してしまう場合がほとんどです。
当相談室では、社内にFP(ファイナンシャルプランナー)等、資産アドバイスができる資格者を複数名抱え、『任意売却後の生活を支える任意売却専門業者』として活動する会社がほとんど存在しないため、北は北海道から、南は沖縄の離島までご相談を頂きます。
任意売却に2000件以上の実績を持ち、任意売却後に住み続けられるリースバックを得意とし、任意売却後の生活を支える任意売却専門業者としてFP等の資格者を複数抱えていること、これが当相談室の最大の強みでもあります。
引越し費用は?
任意売却後に住み続けられるリースバックを希望されない場合、引っ越されることとなりますが、その場合の引越し費用も物件の売却益の中から算出いたします。
任意売却の業者によっては、相談した際には『一律○○万円支給』と伝えていたが、交渉に失敗し、大幅に減額された金額、もしくは1円も払えなかった、ということがよくあります。
当相談室では、物件の買い手がつかない場合、当相談室が直接物件を買取るということも可能なため、引越費用が出せなかったということはありません。
今まで成約した豊富な経験を持ってアドバイスさせていただきます。
まとめ
任意売却と競売は、なぜここまで大きな違いが生まれるのか。
それは、そもそも主体が違い、守るべき相手が違うためなのです。
競売が終わった後で任意売却が良かったと思ってもそれは後の祭りです。
任意売却でもすべて手続きが終わった後で、最初の約束と違った、となってもやはり後の祭りです。
そのため、住宅ローンの返済が滞った場合は、早め早めに行動することが、その後の人生の再建を左右します。
住宅を失っても、人生を失うわけではありません。
住宅を失った後も人生は続くのです。
そこでしっかりと再生し生活できるよう、当相談室では全力でサポートさせて頂きます。