今や、3組に1組は離婚する時代。離婚となると様々な手続きが必要になりますが、なかでも困るのは“家”のことではないでしょうか?
とくに住宅ローンが残っている家は売却が困難で、さらに住宅ローン名義を変えることも簡単ではありません。そのため、夫婦で住んでいた家に「夫が住み続ける」「妻子が住み続ける」という選択をするケースも多いでしょう。
ただし、1つの世帯が2つに分かれるということは、それだけ生活費が上がるということ。離婚前は問題なく支払えていた住宅ローンも、離婚後に支払い困難になることは少なくありません。
そこで今回は、離婚後によく問題になる3つの事例を挙げ、住宅ローンが支払い困難になったときの解決策を解説していきます。
ケース1.離婚後、夫が1人で住むことになったけど住宅ローン返済が厳しい…
まずは、離婚後、妻子が家を出て元夫が1人で家に住み続けるケースです。
離婚後、母親が子供を引き取ることは多いもの。その場合、離婚の原因が夫になかったとしても、元夫は元妻に子供の養育費を支払うのが一般的です。
(出典:厚生労働省)
上記の表は、養育費の平均値を表したものです。赤枠で囲った値を見てみると、母子世帯が受給している養育費の平均値は43,707円。離婚後、元夫は住宅ローンを返済し続けながら、負担が増すわけです。さらに慰謝料の支払いがあるとすれば…さらに住宅ローン返済が厳しくなっていくことは容易に想像できます。
そもそも家族で住んでいた家に1人で住むのは、もったいないと感じる方も多いのではないでしょうか?家が広ければその分、光熱費も、固定資産税も高くなりますからね。
住宅ローン残債以上で売れない場合は“任意売却”を
- 住宅ローン返済が厳しい
- 1人じゃ広すぎるし買い替えたい
このように思っても、不動産は基本的に住宅ローンを完済しなければ売ることはできません。ただ売れないからといって「返済が厳しい」状態が続けば、次第に返済が滞り、住宅ローンを借り入れている金融機関は”強制競売”に向けた手続きを開始してしまいます。
「売りたいけど売れない…」そんな身動きが取れないときの解決方法は、“任意売却“です。
任意売却とは、住宅ローンを完済できないときにおこなうイレギュラーな不動産売却方法。金融機関に許可をもらって住宅ローンを完済する前に家を売却し、売却後に残った債務を返済していく流れとなります。
任意売却は債務整理の一種ではありますが、周りから見れば一般的な不動産売却と変わらないので、「住宅ローン返済ができないんだ」「離婚で返済できなくなったんだ」など好奇の目で見られる心配はありません。
ケース2.離婚を機に共有名義を解消したいけど住宅ローン残債があって売却できない…
続いては、夫婦で家を共有しているケース。
離婚となると、元妻・元夫とは財産を共有することは避けたいと思うのが普通です。「共有者」でなくとも、住宅ローンを組むときに夫妻が収入合算して、妻が「連帯保証人」になっているケースも少なくないでしょう。
住宅ローンは金融機関との契約ですから、離婚したからといって簡単に「共有」や「連帯債務」「連帯保証」の状態を解消することはできません。この状態を解消するための方法は、次の通りです。
- 共有名義から夫または妻の単独名義に
- 住宅ローンの借り換え
- 自分の持ち分だけ売却する
- 家を売却する
1.共有名義から夫または妻の単独名義に
自分の持ち分を配偶者に譲渡することは可能です。しかしその場合、「贈与」か「売買」の扱いになるので、持ち分を譲り受けた側に金銭的負担が生じます。また住宅ローン残債があれば所有者同士の一存で決めることはできず、金融機関の許可が必要になります。
2.住宅ローンの借り換え
離婚を機に妻が連帯保証人から外れたい場合には、金融機関の許可が必要です。ただし、連帯保証人がいるからこそ借り入れできた住宅ローン。返済中に契約条件を変えることは、極めて難しいと考えましょう。
解決策としては、「ローンの借り換え」が挙げられます。今の住宅ローンから、別のローンに借り換え、その時は夫の単独名義で、さらに妻を連帯保証人や連帯債務者としない契約にするということですね。ただその場合には、「収入合算しなくても夫1人でローン審査を通過できるだけの収入がある」ことが条件になります。
3.自分の持ち分だけ売却する
自分の持ち分だけ第三者に売却することは、可能ではあります。しかし、考えてもみてください。家の持ち分の一部だけ購入したいという人なんて、そうはいませんよね。そのため、この方法はあまり現実的ではありません。
4. 家を売却する
家を売却してしまえば共有財産がなくなりますので、元夫・元妻との関係を完全に断つことができます。しかし先述通り、住宅ローンを完済しなければ基本的に売却は不可能。そのためこの場合にも、「任意売却」が有効な解決策となります。
ケース3.離婚後、妻子が住んでいたけど元夫の住宅ローン返済が滞ってしまった…
「子供を転校させたくない」「子供のために環境をできるだけ変えたくない」
このように考えて、元夫が住宅ローンの返済を続け、妻子が家に住み続けるというケースも多いでしょう。
ただこのようなケースで問題になるのは、家に住み続けている妻子が住宅ローンの返済状況を知りえないこと。「元夫が返済してくれている」と信じ切っている中、いきなり“競売開始決定通知”が届いた!なんてこともありえるのです。
競売開始決定通知が届くということは、元夫が住宅ローン返済を一定期間滞らせてしまっているから。一緒に住んでいれば返済状況を確認できますが、離婚して支払いだけ任せている状況では、いつの間にか競売手続きが始まってしまうということもありえるのです。
競売開始決定通知がきてもまだ任意売却が可能
“決定通知“というともはや競売を避けられないように感じてしまいますが、まだ大丈夫。
任意売却は、競売が”開札“(=実際に競りが始まること)するまで可能です。競売開始決定通知から競売が開札するまでの間は、5~6カ月ほど。この間に家を売り切ることができれば、競売を避けられます。
競売によって落札されてしまうと、そこに住む人は家から強制退去を迫られることになります。こうなってしまえば裁判所主導に事が進んでいくことは避けられないので、元夫になにを言っても状況は変わりません。
競売開始決定通知が届いてしまったら、元夫に任意売却に向けて一刻も早く動き出すよう伝えることが大切です。家の所有者は元夫ですから、元夫が任意売却に向けた手続きを開始しなければ競売は回避できないのです。
まとめ
家族のために購入した家を、離婚してもなおうまく所有し続けるのは非常に困難です。離婚後に住宅ローン返済が厳しくなることは、いわば自然の流れともいえるでしょう。
住宅ローンが完済できず、毎月の返済が滞っているまま放置してしまえば、競売を避けることはできません。競売を回避するためのただ一つの方法が、任意売却です。
不動産あんしん相談室は、離婚に伴う任意売却のご相談も多くいただいております。当相談室は任意売却物件の買取にも対応しているので、競売期日が差し迫っている状況でも高確率で競売を回避できます。
相談無料で対応しておりますので、一度お気軽にご相談ください。