近年は働く女性が増えた影響もあり、夫婦共有名義でマイホームを購入するご家庭が多くなってきました。
たとえ夫婦であっても、1つの不動産を共有名義にする場合、各共有者の持分の割合を登記する必要があります。
では、その持分割合はどのように決まるのでしょうか?
共有持分の割合は負担した費用の割合で決まる
基本的には不動産を購入する際に、それぞれが負担した費用の割合によって決定されます。
具体的には不動産の購入価格+諸費用を含めた総額に対して、それぞれがいくらずつ負担したかによって決まります。
引っ越し代や家具購入費など、間接的にかかる費用は含まれません。
夫婦共有名義でマンションを購入する場合の例
たとえば、物件価格などの合計額が4000万円のマンションを夫婦共有名義で購入したとしましょう。
それぞれの負担額は以下のとおりです。
自己資金 | 住宅ローン | 合計額 | |
夫 | 800万円 | 2000万円 | 2800万円 |
妻 | 200万円 | 1000万円 | 1200万円 |
この場合、夫の負担割合は2800万円÷4000万円で10分の7となります。
一方、妻の割合割合は1200万円÷4000万円で10分の3です。
したがってそれぞれの共有持分の割合は、夫:妻=7:3となります。
購入後、どちらかが支払いをしなかったらどうなる?
不動産を購入すれば、その維持管理に必要な修繕や改装などのために、さまざまな費用が発生します。
夫婦で住んでいる場合、購入後の維持管理費を明確に分けることは、なかなか難しいかと思います。
ただ共有名義不動産の場合、民法でいくつかの決まりが設けられているため、その内容が身を守る手段となるかもしれません。
持分に応じて共有物に関する費用は負担すること
まず第一に、共有者はぞれぞれ持分の割合に応じて共有物の管理費用やその他の費用を支払わなければなりません。
この義務は、別居や単身赴任等で実際にはその共有不動産に住んでいない共有者にも課されることになります。
「住んでいないのになぜ払わなければいけないの?」と思われる方は、マンションの管理費をイメージしてみてください。
マンションを所有している以上は、たとえそこに住んでいなくても、管理組合から管理費を請求されるはずです。
水道光熱費は、共有物の負担には該当しません。
強制買取制度が認められている
第二に、共有者が1年以内に上記の義務を果たさない場合は、他の共有者が相当額のお金を支払って、その者の持分を取得することが可能です。
共有物に関して、負担すべき費用を支払わない人と1つのモノを共有するのは気持ちいいものではありません。
そこで費用を支払わない人を共有関係から切り離すことを可能にするために、このような「強制買取制度」が認められているのです。
夫婦共有名義はいざという時のリスクが大きい
購入時はメリットが多そうにみえる夫婦共有名義ですが、問題は別居や離婚という事態になってしまった時です。
1つの不動産を2つに分けることはできないため、残りの住宅ローンを1人では払うことができず、泣く泣く売却になるケースが後を絶ちません。
当相談室でもよくご相談を受ける離婚と住宅ローントラブルの事例をまとめておりますので、ぜひ参考にしてみてください。
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