住宅ローンは滞納しないように…と気を付けている方も多いことと思いますが、固定資産税などの税金やマンションの管理費・修繕積立金の滞納でも、お住まいなどの資産が差し押さえられてしまう可能性があることをご存じですか?
とくに昨今では新型コロナウイルス感染拡大により、住宅ローンのみならず、税金や管理費などの滞納が危惧される方が増加傾向にあります。
税金滞納から資産が差し押さえられるまでの流れ
国税庁によれば、平成30年度末における税金滞納残高は8,118億円にものぼっているといいます。
(出典:国税庁)
滞納発生の割合は、近年では国税だけで1%ほど。
それでは、税金を滞納してしまうとどうなってしまうのでしょうか?
1.延滞税がかかる
まず、納税期限を1日でも過ぎれば延滞税が課税されます。
(出典:国税庁)
上記は国税庁による延滞税の計算方法を示した図ですが、「注2」と書いてある延滞税の割合は、延滞した期間によって次のように異なります。
- 納期限の翌日から2ヶ月を経過する日までの期間:原則年7.3%
- 上記以降の期間:原則年14.6%
2.財産の差し押さえ
税金を滞納したら、延滞税さえ納めればいつまでも延滞できるわけではありません。延滞税が課税される間にも、「次の段階」に進むための準備が進められます。
「次の段階」とは、財産の差し押さえです。
まずは、滞納から一定期間内に督促状によって催促されます。
ただ実際には10日後に即日差し押さえられるのではなく、まずは差し押さえる財産を決めるための調査が行われます。
差し押さえられる財産は、金銭価値があるものに限られます。たとえば、自宅・有価証券・給料・高額な預金などです。
差し押さえられた財産は、名義変更や売買などができなくなります。
3.公売
差し押さえられた後に滞納税を完納すれば、差し押さえは解除されます。しかしこの時点でまだ完納されなければ、ただちに公売に移ります。
これらの一連の工程は法律で定められているものであり、所有者への事前連絡や許可取りなどは必要ありません。
管理費滞納から資産が差し押さえられるまでの流れ
一方、国税や地方税ではない、マンションの管理費や修繕積立金を滞納してしまうとどうなってしまうのでしょうか?
実は、管理費などの滞納が発生しているマンションは少なくありません。
(出典:国土交通省)
直近の平成30年度の調査では、管理費などの滞納がないマンションが62.7%。つまり、4割近いマンションで滞納が発生しているということです。
このため近年では、管理費や修繕積立金の滞納への対応が強化されているといえます。
またマンションの管理費などの滞納の時効は、5年です。この間を超えると管理組合側は改修できなくなってしまうので、その前に訴訟や差し押さえなどの対応を取られる可能性が高いといえます。
1.督促
マンションの管理費・修繕積立金を徴収するのは、管理組合です。管理費を滞納してしまえば、まずは管理組合から催促が来ます。
2.少額訴訟
1ヶ月、2ヶ月の滞納ではまずないでしょうが、滞納が数ヶ月に及び、滞納金が一定の金額になれば、管理組合は「少額訴訟」という法的手続きを取るのが一般的です。
3.住まいの差し押さえ
少額訴訟は、請求金額が60万円以下の場合に利用できる法的手続きです。よって、滞納金が60万円を超える、あるいは少額訴訟の結果、滞納者が敗訴しても支払われない…とあれば、次の段階に進みます。
具体的には、こちらも税金滞納と同様に資産の差し押さえです。
住宅ローンを滞納した場合、金融機関は物件を差し押さえ、競売にかける権利を有しています。管理組合にもまた、区分所有法に則った財産差し押さえの請求や競売請求(第59条)の権利があります。
つまり、税金滞納と同様に、管理費・修繕積立金等の滞納においても、自宅やその他の資産を失ってしまう恐れがあるのです。
4.公売・競売
差し押さえられた財産は、税金滞納同様に公売にかけられます。
一方で不動産の競売請求が認められた場合には、マンションは強制的に競売にかられ、自宅を追われることになります。
税金滞納・管理費滞納の救済策
税金や管理費などは、滞納させないことが一番というのはいうまでもありません。支払うべき税金・費用を滞納させてしまったときのペナルティは、非常に大きいものです。
すでに滞納させてしまった、あるいはその予備軍となってしまっている方は、適切な対策を取り、財産差し押さえや自宅の競売など最悪の事態を避けましょう。
滞納後に融資を受けるのは困難
まず手っ取り早く考えるのは、滞納した税金や費用を支払うお金を借りるということではないでしょうか?
しかし、金融機関から融資を受けるためには個人の「信用情報」がチェックされます。信用情報とは、簡単にいえばこの人が信用に値する人物かどうかを見極めるための情報。税金などを滞納している人は信用情報にその旨が記載されているため、「信用がない」と判断されてしまう可能性が高いといえるでしょう。
つまり、滞納してしまってから融資を受けるのは非常に難しいのです。
最も現実的な救済策は不動産売却
滞納させてしまった費用は、資産の差し押さえによる公売によって返済できるかもしれません。しかし、滞納させてしまった背景には多くの場合、深刻な資金難があるはずです。
延滞税・延滞金をなんとか納めたとしても、これらの費用が継続的にかかることは変わらず、また同様の事態になってしまいかねません。
根本的な解決策は2つ。
とはいえ、いきなり事業収入や給料が上がることはなかなか起きませんので、別の方法で収入を得る、そして家計における固定費を引き下げることを検討されたほうが良いでしょう。
そしてこれらを満たすのが、不動産売却であるといえます。
不動産という大きな資産を売却すれば、まず手元資金が増えます。さらに、不動産を所有していることでかかる固定資産税、マンションであれば管理費・修繕積立金などの負担がなくなれば、たとえ賃貸住宅に移ったとしても固定費を減らすことは可能です。
もちろん一般的な不動産売却によって、価格の安いお住まいに住み替える、あるいは固定費が下がる家賃内で賃貸住宅を探すこともできるでしょう。
しかし、「転居したくない」「すでに競売手続きが開始している」という方は、次のような不動産売却を検討してみてください。
リースバック
- 自宅を売却して固定費を減らしてまとまったお金を得たい
- だけど転居はしたくない
このようなご意向があれば、リースバックが適しているかもしれません。
賃貸することで家賃はかかりますが、それまでかかっていた固定資産税・管理費・修繕積立金・火災保険料・金利負担などの費用が一切なくなることで負担が軽減します。
もちろん不動産を売却したことで対価が得られるため、延滞税や延滞金の支払いもできるようになるはずです。
任意売却
- 自宅が差し押さえられてしまった
- 競売手続きが始まってしまった
- 売却しても住宅ローンが完済できそうにない
このような状況にあれば、任意売却が適しています。
差し押さえられた不動産は、一般的な方法では売却できません。任意売却とは、競売を避けるための唯一の不動産売却です。
競売になってしまうと相場価格の半値近くで落札されることもありますが、任意売却なら市場価格に限りなく近い金額での売却も可能です。
また競売後にも住宅ローンが完済できない場合には、基本的に残債務の一括返済を求められますが、任意売却では債権者との交渉のうえ無理のない返済計画を立てられます。
まとめ
住宅ローン以外にも、税金やマンションの管理費・修繕積立金などを滞納されている場合は、自宅や資産が差し押さえられ、強制的に売却されてしまう可能性があります。
そうなってしまう前に適切な対策を取ることで、今の状況を打開できるチャンスがあります。しかし、ご決断の時期が遅れてしまえばしまうほど選択肢は限られ、競売・公売が避けられなくなってしまいます。
弊社では、リースバック・任意売却・弊社による直接買取、すべてに対応しているため、スムーズに不動産を資金化できます。すでに延滞税・延滞金が発生してしまった方のみならず、予備軍の方もぜひ不動産あんしん相談室にご相談ください。