借金の返済が厳しいときには「債務整理」を検討します。ご資産の中に不動産が含まれる場合は、どの債務整理が適切なのかの判断が難しく、手続きも複雑になるものです。
債務整理を検討されるにあたっては、弁護士への相談が不可欠だといえます。ただ、どんな弁護士に相談すればいいのか迷ってしまうのではないでしょうか？
そこで本記事では、不動産を所有している方が安心して債務整理を任せられる弁護士の条件を紹介します。
債務整理の3つの手続き
債務整理とは、債務（借金）を整理し、返済しやすくするための手段です。債務整理における弁護士の役割は、次のようなことです。
- 債権者（お金を貸している人・企業）に受任通知を発送して取り立てをストップさせる
- 債務者（お金を借りている人・企業）の代理人となって裁判所へ申し立てを行う
- 債務者の代理人となって債権者へ交渉や主張、訴訟を行う
債務整理には、次の4つの手続きがあります。
1．任意整理
任意整理とは、無理なく借金を返済していけるようにする手続きです。
弁護士が間に入って債権者と交渉することになりますが、借金を帳消しするのではなく金利負担の低減などにより返済負担を減らすため、裁判所の介入はありません。
2．個人再生
個人再生は、借金を減額して返済負担を減らす手続きです。
個人再生の特徴は、住宅ローン返済中の家を所有したまま再生手続きが取れること。ただし、減額できるのは住宅ローン残債ではなく、その他の債務です。
3．自己破産
自己破産は、借金返済を免除してもらう手続きです。
借金返済は免除になるものの「20万円超える資産」と「99万円を超える現金以外の資産」は原則的に手元に残すことができず、返済に充てられます。
債務整理で求められる弁護士の条件
条件1．ヒアリング力
「借金返済が苦しいので自己破産したいです！」と、自分がすべきことがわかっている・決まっているご相談者様は非常に少ないものです。多くの方は「借金返済が苦しいのでどうすれば……」と、自分はこれから何をどうすべきなのかで悩んでいます。
適している債務整理が、任意整理なのか、個人再生なのか、自己破産なのかは、状況次第です。また、ご相談者様が目指すゴール……たとえば「持ち家はできる限り残したい」「自己破産は避けたい」といったご意向にもよります。
債務整理や自己破産を安心して任せられる弁護士には、まず相談者の「状況」や「意向」を丁寧にヒアリングしてくれることが求められるでしょう。
弁護士に相談するということは「専門的な知識を聞きたい」のではなく「適切な解決方法を提案してもらい、先導してもらいたい」からであるはず。いくら専門性や知識があっても、ヒアリング力がなければ良い弁護士とはいえません。
条件2．経験と実績
安心して債務整理や自己破産を任せられる弁護士には、まず「ヒアリング力」が伴っているべき……ですが、やはり専門性も大切です。
一口に「弁護士」といっても、得意・不得意があります。債務整理によって有利な条件で借金が減額できたり、返済計画を立てたりできるかは交渉次第。弁護士の業務の中でも、とくに経験がものを言う分野の一つなのです。
債務整理や自己破産の実績が多かったり、得意としていたりする弁護士は、公式ホームページなどでその旨の記載が必ずあります。
もし公開情報がなければ、担当弁護士に直接これまでの実績を聞いてみましょう。
多くの弁護士事務所が、初回の相談料は無料としています。実際にご自身の債権者となっている機関への交渉経験があるかなど、具体的に聞いてみるのも良いと思います。
条件3．不動産業者との提携
所有する不動産があるなかで債務整理方法で悩まれている場合は、不動産業者と提携している弁護士を選択すべきでしょう。
不動産の「価値」によってその後の判断は分かれる
「借金の返済が厳しい」という方が選択される債務整理ですが、不動産を所有している場合は借金総額とともに不動産の資産価値を把握しなければ、その後すべきことは見えてきません。
まずは、借金と資産価値の乖離（差）を把握する必要があります。また、場合によってはご所有の不動産を売却して資金化することで、債務整理を避けられるかもしれません。
弁護士は不動産の専門家ではありませんので、不動産業者との提携があれば査定や鑑定といった手続きもスムーズに行えます。
不動産売却を伴うときもスムーズ
不動産を売却することになったときも、不動産業者と提携していれば査定後すぐに売却活動を開始できます。
借金返済に困っている方は、悠長に構えている時間はないはず。すぐに売却でき、なおかつ提携不動産会社が直接買い取ってくれる体制などがあればさらに安心です。
「任意売却」ができることも
主に住宅ローンの返済が負担になっている方は「任意売却」が最適な選択になることもあります。
任意売却とは、住宅ローンを返済できない不動産の売却手段。売却後に債務が残っても、無理のない計画のもと返済していけます。
任意売却は、弁護士や司法書士、不動産会社が連携してこそできるものです。
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