「養育費代わりに住宅ローンを支払い続ける」
離婚前、このように取り決め、夫名義の家に妻子が住み続ける場合には、様々なリスクがあります。
- 元夫の気が変わってローン返済が滞る
- 病気やリストラによって元夫がローンを返済できなくなる
- 元夫に新しい家族ができて経済的にローンを支払える状況ではなくなる
- 子が成人した途端に住宅ローンの返済をやめる
どんな理由であれ、元夫名義の家である以上、住宅ローンを支払わなければ強制競売になってしまうことは避けられません。
当相談室には、「元夫のローン返済が滞り、結局、自分で支払っていて辛い…」という女性の声も寄せられています。
本記事では、このようなケースの対応策として、家を子どもに名義変更するための方法を解説します。
元夫が家の住宅ローンを支払ってくれなくなったときの4つの問題点
離婚した夫による住宅ローンの返済が滞れば、次の4つのことが問題点としてあげられます。
1.住宅ローンの条件が悪い
これまで支払ってくれていたのに、いきなり元夫による住宅ローン返済が滞ってしまった…
このような場合、そのままの状況を放置していたら「競売」は避けられません。
競売を避けるためには、住宅ローンを滞納させないようにと、元妻や子が住宅ローンを負担するケースも見られます。
しかし、元夫が購入当時に組んだ住宅ローンは、金利が高かったり、ボーナス払いの設定だったりと、条件面が悪いことが多いのです。
たとえば、住宅ローン金利はこの10年間で著しく水準が低下しています。
時期 |
30年超固定金利水準 |
月々の返済額 |
総返済額 |
2010年1月 |
3.22% |
約12万円 |
約5000万円 |
2020年1月 |
1.54% |
約9万2千円 |
約3900万円 |
(参考:三井住友銀行)
同じ3,000万円を、同じ期間、同じく固定金利で返済していくとしても、借り入れた時期によっては返済額が大きな負担となります。
2.元妻や子が買主となることは難しい
元妻や子が、こう思うことは自然です。
しかし実際のところ、住宅ローンが完済されていない不動産を、元夫から元妻や子に名義変更することは簡単ではありません。
住宅ローン残債がある不動産を名義変更するとすれば、住宅ローンの名義も同様に変更する必要があります。しかし、不動産の親族間売買における融資はおりにくいという問題が、住宅ローンの名義変更の障壁となるのです。
親族間売買がなぜ敬遠されるかというと、自宅売買を装った詐欺や住宅購入以外の用途にお金を使われてしまう懸念があるからです。
融資がおりにくい取引となれば、不動産会社はもちろん、弁護士や司法書士などの専門家もお手上げ状態になってしまいます。
3.税金を滞納させたら公売に
住宅ローンの返済もままならない状況が続くと、毎年、課税される固定資産税などの税金を納めることも難しくなっていきます。
先述通り、住宅ローン返済を滞らせてしまうと公売になってしまうことが避けられません。
それは、固定資産税などの税金を滞らせた場合も同様です。
固定資産税の滞納が続き、行政からの督促や催告に応じなければ、財産は差し押さえられ、最終的に公売手続きに入ります。
4.元夫が家を売りたがる
元夫による住宅ローン返済が滞れば、遅かれ早かれ元夫は売却の意思を固めるはずです。
今後の競売や財産差し押さえなどのリスクを考えれば、当然といえば当然の成り行きでしょう。
住宅ローンの借り換え等の提案には応じてくれる可能性もありますが、ローンの条件が良くなれば今まで支払っていなかったものを支払うのかといえば、なかなか難しいことが予想されます。
離婚後に家を子ども名義にするための2つの方法
融資がおりにくい親族間売買ですが、今の状況を変えず、家の名義を子どもに変更することは可能です。
融資してくれる金融機関を見つける
1つ目の方法は、親族間売買にも融資してくれる金融機関を見つけることです。住宅ローンさえ組めれば、親子間での不動産売買は可能です。
ただ先述通り、多くの金融機関は親族間売買に対する融資には消極的という事実があります。
しかしそれは、親子間の不動産売買に融資してくれる金融機関がゼロというわけではありません。実際に当相談室では、親族間売買における融資を手配した実績が多数ございます。
当相談室は、離婚やローン滞納などのトラブル専門の不動産を専門に扱う不動産会社。トラブル解決のためには、弁護士や司法書士などの専門家とともに金融機関との提携が不可欠であるため、イレギュラーなケースにも対応してくれる機関との繋がりがあるのです。
- 住宅ローンの審査に何度も落ちた
- 通った審査は金利がとても高い
- 門前払いされた不動産会社もある
親族間売買は、競売手続きが始まってしまってからも選択可能です。どんな状況の方でも、ぜひ一度ご相談ください。
第三者を挟んで売買する
万一、子どもの融資がどうしても通らない!というときには、第三者を挟んで売買する方法があります。
住宅ローン審査が通りにくいのは、親から子の「親族間売買」だから。この点を変えることで、融資を受けやすくなるのです。
どういうことかというと、まず元夫から第三者が家を買取ります。続いて、この第三者から子どもが家を買取るという2つの売買をおこなうということです。
いずれの不動産売買も親族間にはあたらないため、取引上の問題はなく、子どもの住宅ローン審査も通りやすくなります。
現実的に、自ら売買の間に入る不動産会社は少ないのですが、当相談室は上記ケースにおける「第三者」の立場にならせていただくことも可能です。
まとめ
離婚した夫から子どもに家の名義変更ができれば、次のように生活が一変します。
- 月々の負担が軽くなる
⇒元夫が組んだ当時と比較して昨今のローン金利水準はかなりの程度低く、なおかつローンの借り入れ期間も伸びるため、月々の返済額が大幅に減ることがあります - 元妻と子は、元夫に依存せず生活を送れるようになる
- 元夫はローン返済から解放され固定資産税も一括で返済できる
相談当時は下を向いていた方が、今の生活を継続しながら前向きになっていく様子を多く見てきています。今、お悩みの方もあきらめず、ぜひ当相談室にご相談ください。