ここ数年「離婚はしたいけど、私とこどもは今の家を出て行きたくない」という妻からのご相談をたくさんいただきます。
離婚後も妻とこどもは夫名義の住宅に住み続け、住宅ローンは出て行く夫が払うという形を望んでいる方は多いかと思いますが、この取り決めは様々なリスクを伴うので要注意です。
その1つの例として、元夫名義の住宅に住んでいることで、母子家庭向けの支援が受けられなくなる可能性があることを今回はご紹介しますね。
ひとり親家庭の生活を助ける児童扶養手当
児童扶養手当は、母子家庭や父子家庭といったひとり親家庭に地方自治体を通じて支給される手当です。
子ども1人の場合、最高で月額約4万円が受給できます。
児童扶養手当は所得を基準に受給額が決まり、正社員程度の年収があればたいてい受給はできませんが、母子家庭ではパートやアルバイト勤務の人も多いため、貴重な収入源になり得ます。
また、受給額の算定基準になるのは前年度の所得ですから、専業主婦から離婚をきっかけに働き始めたような場合、初年度はかなり多くの額の受給が期待できます。
児童扶養手当の支給には審査がある
上記のような事情から、離婚する際には、児童扶養手当をあてにして生活設計を考える女性の方も多いと思います。
しかし、児童扶養手当は離婚すれば自動的に受けられるわけではなく、申請手続きを行った後、審査が行われます。
ここで注意しなければいけないのは、元夫名義の住宅にそのまま住み続けていたり、元夫が住宅ローンを支払っていたりする場合、審査に通らないことがあります。
離婚しても元夫名義の住宅に住み続けているということは、それだけで偽装離婚を疑われてしまうような状況です。
また、児童扶養手当の算定の基準になる所得には受け取っている養育費の8割も含まれるため、養育費代わりに住宅ローンという形で住居費を払ってもらっているとみなされ、その分受給額が減ってしまう可能性もあります。
児童扶養手当については離婚前に役所に確認
離婚後も元配偶者名義の住宅に住み続ける場合に、児童扶養手当が受けられるかどうかは自治体によって扱いも違いますし、個別の事情によっても変わってきます。
離婚後、あてにしていた手当がもらえないとなると困りますから、離婚届を出す前に役所の担当課に確認しておくのがおすすめです。
離婚後も元配偶者が住宅ローンを支払っている家に住み続けていると、上記以外にも様々なトラブルが起こる可能性があります。
離婚の際に住宅ローン返済中の住宅をどうするかは、専門家に相談して対処法を考えるようにしましょう。
当相談室でもご相談を受け付けていますので、お気軽にお問い合わせください。