家の名義や住宅ローン債務者が夫であれば、離婚後に夫が住み続けることには問題がないように思えます。
しかし、夫の住宅ローンの連帯保証人に、妻がなっているケースがあります。
今回は「離婚したいけど住宅ローンの連帯保証人になっている」という女性からの相談事例をご紹介します。
離婚を考えたAさんは、夫の住宅ローンの連帯保証人から外してほしいと金融機関に交渉しました。
しかし、住宅ローンの連帯保証人から外れるのは簡単ではありませんでした。
離婚後、夫が住み続けるマンションの連帯保証人になっていた!
結婚して4年になるAさんは、夫と3歳の子どもの3人家族。
子どもが生まれた頃から夫のモラハラ的言動が耐えられなくなり、夫と離婚の話し合いを始めました。
最初は反対していた夫ですが、Aさんの意思が固いことを知り、やむなく同意することに。
しかし、気になるのが結婚後に購入し、現在も居住中のマンションです。
Aさんは離婚後実家に帰るので、マンションが欲しいわけではありません。
住宅ローンは残っていますが、家の名義もローンの名義も夫ですから、マンションは夫にそのまま住んでもらってかまわないと思いました。
しかし、契約書を改めて見直したとき、Aさんは自分が夫の住宅ローンの連帯保証人になっていることに気付きました。
離婚するまでは連帯保証人から外れられない?
Aさんは金融機関へ相談に行き「自分は離婚して家に住まなくなるので連帯保証人から外してほしい」と申し出ました。
しかし、金融機関側からの返事は「連帯保証人から外すことも可能だが、離婚後でないと手続きはできない」というもの。
連帯保証人から外れることができたら離婚しようと思っていたAさんは、急に不安になってきました。
Aさんを連帯保証人から外す手続きは、夫の協力がなければできません。
離婚してしまえばもう他人ですから、夫が協力してくれないのではないかと思ったのです。
そもそも、夫自身は離婚したくなかったくらいですから、今も何かにつけてAさんに嫌味を言ってくるような状態。
離婚後、嫌がらせで住宅ローンの連帯保証人から外してくれないことも考えらえます。
もし夫が住宅ローンを支払わない場合には、連帯保証人であるAさんが代わりに支払わなければなりません。
マンションが担保になっているとはいえ、オーバーローンの状態ですから、家を売っても借金が残る可能性があります。
夫との約束を公正証書にして離婚
不安でいっぱいだったAさんですが、結局離婚届を出すことにしました。
離婚前に夫婦間での離婚の取り決めを公正証書にし、公正証書の中で「夫は離婚後Aさんを住宅ローンの連帯保証人から外すよう金融機関と交渉を行う」旨約束しました。
なお、公正証書はお金の支払いについてのみにしか強制力がありませんから、このような取り決め事項を書いても、絶対ということはありません。
しかし、きちんとした書類に残すことにより、夫が約束を守る可能性が高くなります。
また、Aさんの方も、公正証書を証拠にして裁判を起こすことが可能になりますから、夫が約束を破った場合に備えることができます。
Aさんの場合には、離婚後に夫が約束どおり金融機関と交渉してくれたので、無事連帯保証人から外れることができました。
しかし、すべてのご夫婦でAさん同様うまくいくとは限りません。
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離婚する前にできる対策はしておきましょう
離婚の際に、夫婦の一方が住宅ローンの連帯保証人になっている場合には、離婚届を出す前に、不動産会社や専門家に相談した方が安心です。
債権者である金融機関からは、債務者である当事者目線での解決法を提示してもらえないこともあります。
当相談室では、各種専門家と連携して対応させていただきますので、お気軽にお問い合わせください。